不動産や株式の収益が増えてきたとき、「個人のままでいいのか」と迷う方は少なくありません。判断の軸になるのが、資産管理会社のメリットとデメリットの整理です。本記事では財務専門家の視点から、節税・相続対策・コストの実態を具体的に解説します。
資産管理会社とは?役割と仕組みを理解しよう

資産管理会社とは、個人が保有する不動産・株式・有価証券などの資産を法人名義で管理・運用するために設立するプライベートカンパニーです。個人と法人の間に「器」を置くことで、税率差を利用した節税・家族への所得分散・相続対策が一度に図れる点が最大の特徴。
一般的な事業法人と異なり、外部顧客向けのサービス提供を目的とせず、自分や家族の資産を保有・管理することが主な目的となります。
プライベートカンパニー・マイクロ法人との違い
資産管理会社と混同されやすいのがマイクロ法人です。マイクロ法人は主に社会保険料の節減を目的とする小規模法人で、資産の保有・管理を主目的とする資産管理会社とは設計思想が異なります。
資産規模が小さい段階でマイクロ法人に飛びつくと、管理コストが節減メリットを上回るリスクがあります。「資産の長期管理と相続対策」か「社会保険料の削減」か、まず目的を明確にすることが先決です。
資産管理会社で扱える資産の種類
資産管理会社が保有・管理の対象とできる資産は幅広く、不動産(賃貸物件・土地・建物)、上場株式・非上場株式、投資信託・債券などの有価証券、知的財産権、金融資産などが代表的です。
法人名義で保有することで収益が法人内に留まり、個人の累進課税を回避しやすくなるのが核心的な仕組み。 どの資産を法人に移転するかによって税コストや手続きの複雑さが変わるため、資産の種類ごとに専門家と検討することが前提となります。
資産管理会社を設立するメリット【節税・所得分散編】

資産管理会社を設立することで得られる節税メリットは、「税率差の活用」「所得分散」「経費範囲の拡大」「繰越欠損金の活用」の4つに大きく整理できます。鍵になるのは、所得税・法人税・課税所得・役員報酬・住民税という5つの観点。
個人の所得税より法人税が低くなるケースとは
個人の所得税は累進課税で、住民税と合算すると高所得帯では高税率です。法人税は資本金1億円以下の中小法人なら、年800万円以下の所得部分に軽減税率15%(同部分は所得10億円超の事業年度のみ17%)が適用され、一定水準を超えると法人の方が税負担を抑えやすくなります。
損益分岐は所得や実効税率次第のため、専門家の個別試算を活用してください。
出典:国税庁「法人税の税率」(国税庁タックスアンサーNo.5759) 出典:国税庁「所得税の税率」(国税庁タックスアンサーNo.2260)
家族への役員報酬で所得を分散する方法
資産管理会社を設立すると、配偶者や子どもを役員として就任させ役員報酬を支払うことで世帯全体の所得を分散できます。高い所得を一人に集中させず複数の家族に分けることで、世帯全体の税負担が下がる仕組みです。
ただし業務を担っていない家族への役員報酬を過大設定すると、税務調査で行為計算として否認されるリスクがあります。業務量に見合った水準に設定し、業務実態の記録を整備することが前提です。
出典:国税庁「同族会社の行為計算の否認」(法人税法第132条関連)
経費計上の範囲が個人より広がる仕組み
資産管理会社では、個人では経費計上が難しい支出を法人経費として扱えるケースがあります。社宅(役員居住の賃料を法人が負担)・法人名義車両・生命保険料・接待交際費などが代表例です。
これらを適切に経費処理することで法人の課税所得を圧縮でき、節税効果を高められます。 私的な支出を無理に経費算入すると税務調査で否認されるリスクがあります。各費目の損金算入要件を事前に確認したうえで計上してください。
繰越欠損金と損益通算の活用(法人 vs 個人の比較)
事業や投資で赤字が生じた場合、法人は翌期以降の利益と相殺(繰越欠損金の控除)できます。現行制度では法人の繰越欠損金の控除期間は10年間で、個人の青色申告による損失繰越(3年間)より大幅に長い設定です。
法人では複数の事業・投資の損益を同一法人内でまとめて通算できるため、一時的な赤字を将来の黒字と相殺しやすい点も優位性の一つ。不動産投資と他事業を組み合わせる場合には特にこの効果が際立ちます。
出典:国税庁「欠損金の繰越控除」(国税庁タックスアンサーNo.5762)
資産管理会社を設立するメリット【相続・事業承継編】

資産が増えるほど、相続税の負担や遺産分割は複雑になりがちです。資産管理会社が相続対策・事業承継で果たす役割は、株式の評価額圧縮・生前の株式分散・遺産分割の簡素化という3つ。
法人の株式評価額を圧縮して相続税を抑える仕組み
個人が不動産や株式を直接保有している場合、相続時には時価に近い評価で相続税が課されますが、資産管理会社を通じて保有する場合は相続財産が法人の株式となります。
非上場株式の評価には「純資産価額方式」や「類似業種比準価額方式」が用いられ、条件次第では不動産の時価より低い評価額になるケースがあります。 節税効果は資産の種類・規模・財務状況で異なるため、相続専門の税理士への個別試算を経てから判断してください。
出典:国税庁「取引相場のない株式の評価」(財産評価基本通達)
「設立当初から子どもを株主にする」という発想の転換
資産管理会社の設立時に親が100%株主のままにすると、将来その株式全体が相続財産になります。設立当初から子どもや配偶者を一定割合の株主として設計することで、会社の価値が増加しても増加分は最初から子どもに帰属するため、相続財産が膨らみにくくなります。
設立後に株式を贈与・移転しようとすると贈与税が発生するため、株主構成は「設立時が出発点」と捉え、当初から設計に組み込む方が合理的です。
遺産分割の簡素化と事業承継のスムーズな実現
不動産を複数の相続人で共有すると、売却・建て替え・リフォームのたびに全員の合意が必要になり、管理が滞りがちになります。資産管理会社の株式を相続させる形にすれば、不動産ごとの名義変更が不要になり、株式の分割で相続分を柔軟に設計できます。
事業承継でも有効なのが、株式の集中・分散を株主総会や定款で調整できる柔軟さ。遺言と組み合わせれば、争族リスクの軽減にもつながります。
出典:国税庁「相続税・贈与税(相続税の課税対象)」(国税庁ウェブサイト)
資産管理会社を設立するデメリットと見落としがちなリスク

設立のメリットばかりに目が向きがちですが、見落としてはいけないのがコスト・法的制約・税務上のリスク。ここでは設立・維持コスト・資産の自由度低下・移転コスト・特例喪失・税務否認という5つの観点から整理します。
法人と個人の資産を混同することで発生する問題については「役員貸付金の利息を徹底解説|適正利率・税務リスク・解消方法まで」および「役員貸付金の解消方法とは?放置するリスクと最適な消し方を徹底解説」でも詳しく解説しています。
法人設立・維持にかかるコストの実態
資産管理会社の設立で発生するのは、登録免許税や定款作成費用といった初期費用。維持コストとして、税理士費用・法人住民税均等割(赤字でも毎年一定額)・会計ソフト費用などが上乗せされます。
法人住民税均等割は赤字でも毎年最低限の納付が求められるため、収益が少ない年でも費用負担が続く点を見落とさないでください。 節税効果がコストを上回るかどうか、設立前に専門家と損益シミュレーションを行うことをお勧めします。
出典:法務省「会社設立の手続き・費用」(法務省民事局ウェブサイト)
法人の資産は個人で自由に使えない——横領・背任リスク
資産管理会社の財産は、あくまで法人のもの。個人の財産とは法的に切り離されています。法人の口座から個人の生活費を支払ったり、法人名義の不動産を私的に使ったりする行為は、横領・背任にあたるリスクがあります。
設立後に「法人資金を個人へ貸し付ける」形は、役員貸付金として計上され、貸付利率の設定を誤れば税務上の問題のもと。法人と個人の資金を厳格に分けて管理する規律こそ、設立後に最も問われる点です。
既存資産の法人移転には思わぬ税コストが発生する
「個人保有の不動産を資産管理会社に移転すれば節税になる」と聞いて設立を決めるケースがありますが、移転そのものに思わぬコストが伴います。
現物出資でも時価課税が発生し、不動産の場合は不動産取得税・登録免許税も別途かかります。「無税で移転できる」という説明は誤りで、鵜呑みにしないよう注意してください。
実務的に有利なのは、最初から法人名義で不動産を購入するケース。これが移転コストを抑える現実的な設計です。
不動産オーナーが見落とす「小規模宅地等の特例」の喪失
個人名義の不動産を相続する場合、一定の要件を満たせば「小規模宅地等の特例」が適用され評価額を最大80%減額できます。法人名義に移転した不動産はこの特例の適用対象外となる可能性が高く、相続税の節税効果が想定を下回るリスクがあります。
不動産を保有するオーナーは、法人化の節税効果と特例喪失コストを比較衡量することが前提。相続シミュレーションで総合検討してから決断してください。
出典:国税庁「小規模宅地等の特例」(国税庁タックスアンサーNo.4124)
税務署に否認されるリスク——事業実態のないペーパーカンパニー問題
設立後に業務を行わず資産を保有するだけの状態が続くと、税務調査で「事業実態がない」と判断されるリスクがあります。役員報酬・経費計上・損益通算などの税務処理を行為計算の否認(法人税法第132条)で否定されると追徴課税の対象になります。
定期的な議事録と業務実態の記録を継続してください。「節税のために設立するだけ」という発想では税務リスクに対応しきれず、設立後の運営体制まで設計に含めることが前提です。
出典:国税庁「同族会社等の行為計算の否認」(法人税法第132条)
資産管理会社の設立をすすめる人・所得の目安
資産管理会社が有効に機能するかどうかは、資産規模・所得の種類・設立目的によって大きく異なります。課税所得の水準・ライフステージ・資産の性質を考慮して、自分のケースに当てはまるかを確認しましょう。
課税所得の損益分岐点——設立が有利になる所得水準の考え方
個人の累進所得税と法人税の税率差がメリットの根拠ですが、損益分岐点は一律に言えません。「法人の節税効果」から「設立・維持コスト」を引いた純メリットがプラスになるかどうかが判断の軸です。
課税所得が数百万円台後半を超えてくると個人課税より法人課税が有利になるケースが増えます。法人実効税率(法人税・法人住民税・事業税の合算)は地方税率によって異なるため、個別試算が欠かせません。
出典:財務省「法人税の実効税率の計算」(財務省ウェブサイト)
設立を検討すべき4つのケース
資産管理会社が特に有効なのは、以下の4ケースです。
①不動産オーナー:課税所得が高い場合(移転コストと小規模宅地等特例の兼ね合いは要確認)。
②個人投資家・資産家:売買益や配当収入が大きいほど、法人運用の切り分け効果が大きい。
③高所得サラリーマン(副業・投資あり):投資収益を法人で管理すれば所得分散の効果が見込めます。
④オーナー社長・承継を控える資産家:事業承継と相続対策を一体設計して進めたい層。
サラリーマンが設立する場合の就業規則との関係
サラリーマンが資産管理会社を設立することは法律上禁止されていません。投資・資産管理を目的とした設立は本業に競合しない場合、副業禁止規定に抵触しないと判断されるケースが多いとされています。
ただし会社によってルールは異なるため、設立前に「副業・兼業・競業」に関する条項を必ず確認してください。「役員就任の届出義務」を設けている会社もあり、不明点は人事部門に相談することをお勧めします。
株式会社と合同会社——資産管理会社に適した法人形態の選び方

法人設立では、株式会社と合同会社のどちらを選ぶかが最初の分かれ道。設立費用だけで判断すると後悔しかねないため、目的別の使い分けを整理しておきましょう。
設立コストが安い合同会社を選ぶと後悔する理由
合同会社は株式会社と比べて登録免許税が低く、定款認証も不要なため、初期費用を抑えやすい形態です。しかし、資産管理会社として長期的に活用することを前提にすると、将来の相続・事業承継・M&Aの場面で株式会社の方が有利なケースが出てきます。
合同会社の「持分」は、株式会社の株式に比べて承継・評価・売買の柔軟性が低いのが弱点。設立費用の差だけで形態を選ぶと、将来の選択肢を狭めることになりかねません。
相続・承継目的なら株式会社を選ぶべき理由
相続対策として子どもや配偶者に株式を分散させたい場合、合同会社の持分より株式会社の株式の方が扱いやすい面があります。株主の変更・株式の分割・種類株式の発行などを定款で柔軟に設計できる点が、相続・承継設計における株式会社の優位性です。
将来的に銀行融資・外部投資家・M&Aを検討する可能性がある場合も、株式会社の方が選択肢は広がります。初期費用の差より長期的な設計の自由度を軸に判断してください。
資産管理会社の3つの活用形態(所有方式・管理方式・サブリース方式)

資産管理会社を不動産オーナーが活用する場合、大きく3つの形態があります。それぞれで節税効果・コスト・税務リスクが異なるため、自分の状況に合った方式を選ぶことが欠かせません。
不動産所有方式——最も高い節税効果と高い移転コストのトレードオフ
所有方式は、資産管理会社が不動産を直接所有する形態です。収益が法人内で完結するため、3方式の中で最も高い節税効果が見込めます。既存の個人名義不動産を移転する場合は不動産取得税・登録免許税・時価課税が発生するため、移転コストと税メリットを比較衡量することが前提です。
最初から法人名義で取得すれば移転コストを回避でき、税額・課税関係は個別に税理士へ確認することを推奨します。
出典:国税庁「登録免許税の税額表」(国税庁タックスアンサーNo.7191) 出典:総務省「不動産税制(不動産取得税)」(総務省ウェブサイト)
管理会社方式——既存不動産を動かさず管理費を法人に流す
管理会社方式は、個人が不動産を保有したまま資産管理会社が管理業務を担い、その対価として管理費(家賃収入の一定割合)を法人に流す方式です。移転不要で導入しやすい点が利点です。
税務調査では「管理業務の実態があるか」が厳しく問われます。入居者対応・修繕手配・会計業務の実態を記録に残し、管理費率も市場水準に見合った水準とする必要があります。税額・課税関係は税理士への確認が前提です。
出典:国税庁「同族会社等の行為計算の否認」(法人税法第132条)
サブリース方式——一括借上げで収益を法人に集約する
サブリース方式は、資産管理会社が個人から不動産を一括借上げし、入居者に転貸する形態です。法人が家賃差額を収益として計上できるため、管理会社方式より収益の移転額が大きくなります。
賃貸住宅管理業法の規制対象(重要事項説明義務など)となりうるため、設立前に適用される規制内容を確認することが前提です。 税務面では、サブリース契約の実態や転貸家賃の設定水準についても税務調査で確認されるケースがあります。
出典:国土交通省「賃貸住宅管理業法」(国土交通省ウェブサイト)
資産管理会社の設立手順——4つのステップで完了する
設立の流れ自体はシンプルですが、事前に株主構成・決算月・事業目的を慎重に設計することが後々の運用に大きく影響します。設立時の決算月の選び方については「決算期変更で経営を最適化!メリット・デメリット・タイミングを解説」も参考にしてください。
設立後の銀行融資への影響については「銀行融資のメリット・デメリットとは?種類・審査の流れ・他の資金調達との比較まで解説」、法人の財務健全性の考え方は「自己資本比率の目安とは?業種別の適正値と改善方法をわかりやすく解説」でも解説しています。
STEP1 会社の基本事項を決める(商号・所在地・事業目的・決算月・株主構成)
最初に決めるべきは、商号・本店所在地・事業目的・決算月・資本金額・株主構成の6点です。株主構成は相続設計の根幹となるため、設立当初から子どもや配偶者を株主に入れるかどうかを専門家と相談して決定してください。
事業目的は「不動産の賃貸・管理」「有価証券の運用・保有」など実際に行う業務を記載。後から変更すると費用がかかるため、想定できる範囲で広めに設定しておくことをお勧めします。
STEP2 定款を作成・認証する
定款とは会社の基本ルールを定めた文書で、株式会社では公証役場での認証が要ります。電子定款を使えば印紙代を節約でき、定款に記載するのは商号・本店所在地・事業目的・発行可能株式総数・設立時の株主と出資額など。
資産管理会社の場合、相続対策を意識して「株式の譲渡制限条項」「種類株式の発行に関する条項」などを当初から盛り込んでおくことで、将来の承継設計が柔軟になります。
STEP3 資本金を払い込み、登記申請する
定款認証を終えたら、代表者の口座に資本金を払い込み、その証明書類を添えて法務局へ登記申請します。申請から登記完了までは、通常1〜2週間程度。
資本金の額は節税・社会保険・消費税免税の観点から影響が及びます。消費税の免税事業者要件(設立初年度・2年目)や社会保険の取り扱いとの関係を確認したうえで、適切な金額を設定してください。
出典:法務省「商業・法人登記の申請書様式」(法務局ウェブサイト)
STEP4 設立後の税務・社会保険の届出
法人設立後は、税務署・都道府県・市区町村への設立届出、社会保険(健康保険・厚生年金)の加入手続き、法人口座の開設など、複数の手続きが発生します。代表者が1名であっても社会保険の強制加入対象となるため、設立直後から社会保険料の負担が生じる点をあらかじめ見込んでおいてください。
設立後の銀行取引・融資評価にも影響が及ぶため、法人口座の早期開設も忘れずに手配しておきましょう。
出典:日本年金機構「社会保険の適用事業所と加入手続き」(日本年金機構ウェブサイト)
Encoachへの相談で、資産管理会社の設計から税務まで一貫サポート
資産管理会社の設立は、設立そのものより「設立後の設計」と「出口戦略からの逆算」が肝心です。株主構成・役員報酬・資産移転の順序を間違えると、節税のつもりが税務リスクになるケースもあります。
当社Encoachは、財務コンサルティング・税務コンサルティング・経営者コーチングの3本柱で、個人資産の法人化から相続・事業承継まで一貫してサポートしています。「自分のケースで設立すべきか」「どの法人形態を選ぶべきか」など、まず気軽に相談から始めてください。
財務・税務・相続でお困りの際は、LINEからお気軽にご相談ください。
資産管理会社についてよくある質問
※以下の回答は2026年6月時点の制度に基づき、税制改正により変更となる場合があります。
Q1. 資産管理会社は課税所得がいくらになったら設立を検討すべきですか?
A. 課税所得が数百万円台後半以上を超えると、個人の所得税・住民税の合算税率より法人税の負担が低くなるケースが出てきます。
設立・維持コスト(税理士費用・均等割など)を控除した「純メリット」で判断することが前提です。損益分岐点は所得構成・法人実効税率によって変わるため、専門家への個別試算をお勧めします。
Q2. 資産管理会社の年間維持費はどのくらいかかりますか?
A. 主な維持コストは、税理士への決算・税務申告費用、法人住民税均等割(赤字法人でも毎年一定額が発生)、会計ソフト費用など。
規模・業務量によって差はありますが、合算すると年間で相応の費用負担になるケースが多くなります。設立前に専門家とコストシミュレーションを行い、節税効果がコストを上回るかを確認してから判断してください。
Q3. 資産管理会社を設立すると小規模宅地等の特例は使えなくなりますか?
A. 法人名義に移転した不動産は、小規模宅地等の特例(居住用・事業用での最大80%評価減)の対象外となる可能性が高くなります。
国税庁の情報(タックスアンサーNo.4124)でも特例の適用要件が定められており、法人所有の不動産はその要件を満たしにくいケースが多いです。不動産オーナーの方は、法人化の節税メリットと特例喪失のコストを必ず比較してから判断してください。
Q4. サラリーマンでも資産管理会社を設立できますか?就業規則に引っかかりますか?
A. 法律上はサラリーマンでも資産管理会社を設立できます。投資・資産管理を目的とした法人であれば、本業に競合しないとして副業禁止規定に抵触しないと判断されるケースが多くあります。
ただし就業規則の内容は会社によって異なるため、設立前に自社の就業規則を確認し、「役員就任の届出義務」など関連条項を把握しておくことが前提です。不明な点は人事部門への相談を活用してください。
Q5. 資産管理会社にどうやって収益や資産を移せばいいですか?
A. 主に3つの方法があります。
①最初から法人名義で取得する「所有方式」(節税効果が最大だが既存資産には移転コストが発生)、②個人が保有したまま法人が管理業務を担う「管理会社方式」(移転不要で導入しやすいが業務実態が問われる)、③法人が一括借上げして転貸する「サブリース方式」(収益移転額が大きいが規制への注意が必要)。「無税で移転できる」という話は誤りで、既存資産の移転には時価課税が発生します。
まとめ:3つの問いを整理して資産管理会社を賢く活用しよう
資産管理会社は節税・所得分散・相続対策に有効な手段。ただし「設立すること」が目的化すると落とし穴にはまります。
「いまの課税所得で設立コストを上回るメリットが出るか」「相続設計を含め最初の株主構成をどう組むか」「既存資産の移転コストと小規模宅地等の特例のどちらを優先するか」——この3つの問いを整理してから判断することが欠かせません。
設立後の運営体制まで含め、財務・税務の専門家と出口から逆算した設計を一緒に描いていきましょう。
まずはお気軽にご相談ください。