財務とは?経理との5つの違いから仕事内容・必要な資格まで専門家が解説
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「財務って何?経理とどう違うの?」「会社の成長に重要とは聞くけど、具体的にどんな仕事?」そんな疑問を抱えていませんか。

この記事では、財務とは何か、その役割を経理との明確な違いから具体的な仕事内容、キャリアに役立つ資格まで、財務のプロが徹底解説します。

最後まで読めば、財務が会社の未来を創る「攻めの要」であることが理解でき、明日からの仕事や経営に活かせる知識が身につきます。

まずは結論!財務と経理の主な違いが一目でわかる比較一覧表

まずは結論!財務と経理の主な違いが一目でわかる比較一覧表

財務と経理は、会社のお金を扱う点は同じですが、その役割と目的は全く異なります。

財務が未来志向で企業の成長を資金面から支える「攻めの財務」であるのに対し、経理は過去の取引を正確に記録・管理する「守りの経理」と理解すると分かりやすいでしょう。

両者の主な違いは以下の表の通りです。

観点財務経理
時間軸未来過去・現在
主な役割会社の未来のために資金を調達し、運用する(攻め)日々のお金の動きを正確に記録・管理する(守り)
主な仕事内容財務戦略の立案、資金調達(融資・出資)、予算管理、資金運用、IR活動仕訳・記帳、現預金管理、経費精算、決算書の作成
情報の提供先経営陣、金融機関、投資家など社外の利害関係者経営陣、各事業部門など社内の関係者
仕事のゴール企業価値を最大化すること会社の財務状況を正確に把握できるようにすること

💬 ひとことポイント
財務は未来の資金計画、経理は過去の資金記録。この「時間軸」の違いが、両者を理解するうえで最も重要なポイントです!

財務とは?会社の未来を創る「攻め」の管理部門

財務とは?会社の未来を創る「攻め」の管理部門

財務とは、会社の未来を創るために資金を管理する「攻め」の管理部門です。

会社が将来にわたって成長するために必要なお金を集め、その活用法を計画・実行する役割を担います。

経理が作成した過去の会計データなどを分析し、未来の企業価値を最大化するための戦略を立てる、経営の中核を担う重要な仕事といえるでしょう。

財務の役割は「未来のお金」を最適化し企業価値を高めること

財務の最も重要な役割は、未来のお金を最適化し、企業価値を高めることです。

企業の持続的な成長には、事業の源泉となる資金をいかに効率よく集め、使うかが直結します。

例えば、金融機関と融資交渉を行ったり、投資家向けにIR活動(※)をしたりして事業に必要な資金を調達します。また、余剰資金を有利な条件で運用し、新たな収益源を確保することも重要な仕事です。

このように、財務は単にお金を管理するだけでなく、会社の未来を創る戦略的な機能を持っています。

※IR活動:株主や投資家に対し、投資判断に必要な情報を提供していく活動全般のこと。

財務状況とは企業の「体力」を示す通知表

財務状況とは、企業の収益力や支払い能力を数値で示した「企業の体力」を示す通知表です。

人間でいう「健康診断の結果」のようなもので、その中心となるのが経理が作成する財務諸表(※)です。

例えば、財務諸表の一つである貸借対照表を見れば、会社がどれくらいの資産や負債を持っているかが分かり、企業の体力を測れます。自己資本比率が高ければ、返済不要な資金が多く経営が安定した「筋肉質な会社」と判断できるでしょう。

このように財務状況を分析し、企業の健康状態を正確に把握することが、将来の経営戦略を立てる土台となります。

※財務諸表:企業の財政状態や経営成績を株主や債権者などに報告するために作成される書類のこと。貸借対照表、損益計算書などがある。

💬 ひとことポイント
財務は未来を創るための羅針盤!経理が作った過去の地図(財務諸表)を読み解き、会社の未来への航路を描くのが財務の役割です。

財務の具体的な7つの仕事内容

財務の具体的な7つの仕事内容

財務の仕事は、会社の未来を創るための多岐にわたる活動を含みます。経営の根幹を支える財務戦略の策定から日々の資金繰り、会社の成長を加速させるM&Aまで、7つの具体的な仕事内容を解説します。

  1. 財務戦略の立案:経営目標達成のための資金計画
  2. 資金調達:銀行融資や出資など未来への投資資金を集める
  3. 予算管理:会社全体のお金の流れを計画・統制する
  4. 資金運用:余剰資金を投資し効率的に増やす
  5. M&A・事業投資:企業の成長を加速させる戦略実行
  6. IR活動:投資家に向けて経営状況を報告する
  7. 監査対応:企業の財務状況の健全性を示す

それぞれ見ていきましょう。

1. 財務戦略の立案:経営目標達成のための資金計画

財務の最重要業務は、経営目標を達成するための資金計画、すなわち財務戦略を立案することです。

企業のビジョンを実現するには「いつ、いくら資金が必要で、どう調達し、何に投資するか」という設計図が不可欠だからです。

具体的には、経理が作成した財務諸表を分析して会社の現状を把握します。そのうえで「5年後に売上を倍増させる」といった経営目標から逆算し、必要な資金額や最適な調達方法(借入や増資など)を盛り込んだ中長期の資金計画を作成します。

2. 資金調達:銀行融資や出資など未来への投資資金を集める

企業の成長に必要な運転資金や設備投資資金などを、最適な方法で外部から集めてくることが財務の重要な役割です。

事業拡大や新規プロジェクトには多額の資金が欠かせません。

調達方法には、返済義務がある「融資」と、返済不要だが株式を渡す「出資」の2種類があります。財務は、会社の状況や目的に応じてどちらが最適かを判断し、金融機関や投資家と交渉を行うのです。会社の未来を左右する重要な資金を集める、責任ある仕事といえます。

3. 予算管理:会社全体のお金の流れを計画・統制する

予算管理とは、会社全体の利益目標を達成するため、各部門の収入と支出を計画し、その実績を統制する仕事です。

これは、限られた経営資源を有効活用し、会社を計画通りに運営するための重要な業務といえます。

具体的には、まず全社の売上や利益の目標を立て、各部署に必要な経費などの予算を割り振ります。そして定期的に「予算」と「実績」を比較分析し、目標との間にズレ(予算差異)が生じていれば、原因を調査して改善策を講じるのです。

4. 資金運用:余剰資金を投資し効率的に増やす

事業活動で生まれた余剰資金(キャッシュ)を、投資などを通じて効率的に運用し、会社の資産をさらに増やすことも財務の仕事です。

現代のような低金利時代では、使途のない資金をただ銀行口座に預けておくだけでは、インフレによって実質的な価値が目減りするリスクがあります。

そこで財務は、当面の事業運営に必要ない「余剰資金」の範囲内で、株式や債券などの金融商品に投資し、リターンを追求します。安全性と収益性のバランスを考慮し、会社の資産を最大化することが求められます。

5. M&A・事業投資:企業の成長を加速させる戦略実行

M&A(企業の合併・買収)や大規模な事業投資は、企業の成長を飛躍的に加速させるための重要な財務戦略です。

自社だけで技術開発や市場開拓を行うには長い時間とコストがかかります。しかしM&Aによって他社の技術や販路、人材を一気に獲得できれば、短期間で事業規模を拡大できます。

財務部門は、M&Aの候補となる企業の価値を算定したり、買収先の財務状況を精査(デューデリジェンス)したりする中心的な役割を担う、専門性の高い業務です。

6. IR活動:投資家に向けて経営状況を報告する

IR(Investor Relations)活動とは、株主や投資家といった社外の利害関係者に対し、会社の経営や財務の状況を正しく報告する広報活動全般を指します。

企業が安定的に成長していくためには、投資家からの信頼を得て、いつでも資金調達がしやすい環境を整えておくことが重要です。

具体的には、決算発表時に「決算説明会」を開催して業績や今後の経営戦略を説明したりします。地道な情報発信を通じて自社の魅力を伝え、良好な関係を築くことがIR活動のゴールです。

7. 監査対応:企業の財務状況の健全性を示す

監査対応とは、公認会計士や監査役が行う監査を受け、会社の財務諸表が正しく作成され、内部統制が有効に機能していることを証明する業務です。

会社の決算情報が信頼できるものであることを、第三者によって客観的に担保してもらうための重要な手続きといえます。

監査では、財務部門が中心となって会計帳簿や取引の証拠書類などを提示し、会計処理の方法について監査人に説明します。監査法人から受けた指摘事項を改善することで、企業の透明性と信頼性を向上させることにつながります。

💬 ひとことポイント
財務の仕事は「戦略立案」から「M&A」まで非常に幅広いです。すべてに共通するのは、会社の「未来」を良くするための活動であるという点です。

もう迷わない!財務・経理・会計の明確な3つの違い

もう迷わない!財務・経理・会計の明確な3つの違い

会社のお金を扱う仕事には「財務」「経理」「会計」がありますが、これらの違いを明確に説明するのは難しいかもしれません。

大枠として「会計」というルールの中に、過去のお金を扱う「経理」と未来のお金を扱う「財務」があると考えると分かりやすいでしょう。ここでは3つの視点から、その違いを解説します。

  1. 時間軸の違い:財務は「未来」、経理は「過去」
  2. 役割の違い:「攻めの財務」と「守りの経理」
  3. 情報提供先の違い:財務は「社外」、経理は「社内」

1. 時間軸の違い:財務は「未来」、経理は「過去」

財務と経理の最も大きな違いは、お金を扱う時間軸の向きが正反対である点です。

経理はあくまで過去に発生した取引を正確に記録し、現在の財政状態をまとめる役割を担います。

一方の財務は、経理が作成した決算書という「過去のデータ」を分析し、それをもとに未来の資金計画や投資戦略を立てるのです。経理が作成した「過去の地図」を頼りに、財務が「未来への航路」を描くという関係で成り立っています。

2. 役割の違い:「攻めの財務」と「守りの経理」

両者の役割は、しばしば「攻めの財務」と「守りの経理」と表現されます。

財務の主なミッションは、資金調達やM&A、新規事業投資などを通じて会社の成長を加速させ、企業価値を最大化することにあります。そのため、未来の収益を見据えてリスクを取る「攻め」の姿勢が求められます。

対照的に経理は、日々のお金の流れをミスなく正確に記録・管理し、法令を遵守することで、会社の資産と信頼性を守る「守り」の役割を担います。

3. 情報提供先の違い:財務は「社外」、経理は「社内」

誰に情報を提供するかも、財務と経理の大きな違いです。

財務が主に情報を届ける相手は、金融機関や投資家、株主といった「社外」の利害関係者です。これは、資金調達やIR活動といった、外部との交渉や説明責任を果たすことが財務の重要な業務だからです。

一方で、経理がまとめる情報は、主に経営陣や各事業部の責任者といった「社内」の関係者のために活用されます。これは、社内の業績管理やコスト削減といった、経営の意思決定に役立てることが目的だからです。

💬 ひとことポイント
「時間軸(未来⇔過去)」「役割(攻め⇔守り)」「相手(社外⇔社内)」という3つの対比で覚えると、財務と経理の違いがスッキリ整理できます。

財務担当者に向いている人とは?求められる4つのスキルとおすすめの資格

財務担当者に向いている人とは?求められる4つのスキルとおすすめの資格

財務の仕事は、単に数字に強いだけでは務まりません。会社の未来を創る重要な役割のため、専門知識に加え、経営的な視点や交渉力、高い倫理観が求められます。

財務担当者に不可欠な4つのスキルと、キャリアアップに役立つ資格を解説します。

  1. 財務諸表の読解力と分析スキル
  2. 経営陣や金融機関と渡り合う交渉力・コミュニケーション能力
  3. 会社の未来を見通す経営的視点と戦略的思考力
  4. プレッシャーに強く、高い倫理観を持っている
  5. 【補足】財務でキャリアアップするための有利な資格

1. 財務諸表の読解力と分析スキル

財務担当者にとって最も基礎的かつ重要なスキルは、財務諸表を正しく読み解き、会社の経営状態を分析する力です。

なぜなら、あらゆる財務戦略は、自社の現状を客観的な数字で正確に把握することから始まるからです。

財務諸表を分析すれば、会社の収益性や安全性、成長性といった「企業の体力」を多角的に評価できます。この分析を通じて経営上の課題を発見し、改善策を提案することが、財務担当者の付加価値となるのです。

2. 経営陣や金融機関と渡り合う交渉力・コミュニケーション能力

財務の仕事は、社内外の多くの関係者を巻き込みながら進めるため、高度な交渉力とコミュニケーション能力が求められます。

立案した財務戦略や資金計画の妥当性を経営陣に分かりやすく説明し、納得してもらう必要があります。

また、資金調達の場面では、銀行などの金融機関に対して自社の事業の将来性を魅力的に伝え、有利な条件を引き出すための交渉力が不可欠です。論理的に説明し、信頼関係を築く対話力が極めて重要になります。

3. 会社の未来を見通す経営的視点と戦略的思考力

財務担当者には、単に数字を管理するだけでなく、会社全体の目標達成のために資金をどう活用すべきか考える「経営的視点」と「戦略的思考力」が求められます。

なぜなら、財務は経営戦略そのものと密接に結びついているからです。

例えば「5年後の業界地図はどう変わるか」「その中で自社が成長するために、今どの事業に投資すべきか」といった長期的な視点で資金配分を考える必要があります。短期的な視点にとらわれず、常に会社全体の持続的な成長を考えて行動することが、優れた財務担当者の条件です。

4. プレッシャーに強く、高い倫理観を持っている

会社の未来を左右する多額の資金を扱う財務の仕事は、大きなプレッシャーが伴います。

そのため、予期せぬ事態が起きても冷静な判断力を保つ精神的な強さが不可欠です。

同時に、会社の重要情報を扱い、巨額の資金を動かす立場にあるからこそ、法令遵守はもちろんのこと、不正を許さない極めて高い倫理観が求められます。株主や金融機関、従業員といったすべての利害関係者からの信頼こそが財務部門の基盤であり、その信頼は担当者一人ひとりの誠実な行動によって成り立っています。

【補足】財務でキャリアアップするための有利な資格

財務の仕事に就くために必須の資格はありませんが、専門知識を証明し、キャリアアップを目指す上で有利になる資格は存在します。

  • 公認会計士・税理士:会計・税務の最高峰の専門家。財務戦略の立案やM&Aといった高度な財務業務に直結するため、キャリアアップに極めて有利です。
  • 日商簿記検定:特に2級以上は必須の知識とみなされることが多いです。経理が作成した財務データを理解できなければ、財務分析は始まりません。
  • ファイナンシャルプランナー(FP):金融、税金、投資といった幅広い知識は、企業の資金運用や事業承継計画にも応用できます。

💬 ひとことポイント
財務は「分析力」「交渉力」「戦略的思考力」そして「倫理観」が重要。資格はあくまで知識の証明。実務でこれらのスキルを磨くことがキャリアアップの鍵です。

会社の成長ステージ別|財務の重要性と中小企業が抱える3つの課題

会社の成長ステージ別|財務の重要性と中小企業が抱える3つの課題

財務が果たすべき役割は、会社の成長段階によって変化します。創業期には資金調達、成長期には運転資金の管理が最重要課題です。

そして安定期・成熟期には、M&Aなどを通じてさらなる企業価値向上を目指します。各ステージで財務がどう機能するのか、その重要性を解説します。

  • 創業期:事業計画に基づいた融資・資金調達
  • 成長期:事業拡大に向けた追加の資金調達と予算管理
  • 安定期・成熟期:M&Aや新規事業投資による企業価値の最大化

創業期:事業計画に基づいた融資・資金調達

創業期における財務の最重要ミッションは、事業をスタートさせ、軌道に乗せるための初期資金を確保することです。

自己資金だけでは設備投資や運転資金をまかなえないケースがほとんどだからです。

この段階ではまだ事業実績がないため、金融機関や投資家から信頼を得るには、説得力のある「事業計画書」がすべてです。事業の将来性や収益性を客観的な数字で示し、融資や出資に繋げることが財務の最初の大きな仕事となります。

成長期:事業拡大に向けた追加の資金調達と予算管理

成長期には、売上拡大に伴って急増する運転資金を管理し、資金ショートを防ぐことが財務の最大の課題です。

売上が伸びると、仕入れ代金や人件費などの支払いも増加し、入金よりも支払いが多くなる「黒字倒産」のリスクが高まります。

これを防ぐために、精度の高い「予算管理」が不可欠です。月次の資金繰り表を作成してキャッシュの流れを常に監視し、必要に応じて金融機関からの追加融資を計画的に実行します。事業の成長スピードを落とさずに、安定した経営基盤を維持するバランス感覚が求められるのです。

安定期・成熟期:M&Aや新規事業投資による企業価値の最大化

事業が安定・成熟期に入ると、財務の役割は既存事業の維持から、M&Aや新規事業投資を通じて企業価値をさらに最大化させることへとシフトします。

市場の成長が鈍化する中で持続的に成長を続けるには、自社にない技術や販路を持つ他社を買収(M&A)したり、将来性のある新たな分野へ投資したりする「攻めの財務戦略」が有効です。

その際、財務は投資対象となる企業の価値を正しく評価し、投資のリスクとリターンを分析する重要な役割を担います。

💬 ひとことポイント
会社の成長ステージによって財務の役割は「資金調達」→「資金管理」→「価値創造」へと進化します。自社のステージに合った財務戦略が重要です。

中小企業に財務部がない理由と潜むリスク

多くの中小企業では、コストや人材不足から専任の財務部を置かず、経営者や経理担当者が兼任しているのが実情です。 しかし、これには大きなリスクが潜んでいます。

日々の経理業務に追われ、未来を見据えた財務戦略に手が回らず、資金繰りが場当たり的になりがちです。財務知識が不十分なまま金融機関と交渉し、不利な条件で契約してしまうケースも少なくありません。

また、業務が特定の人物に集中する「属人化」は、不正の温床になったり、担当者の退職で業務が完全に停止したりする危険性もはらんでいます。

💬 ひとことポイント
財務の不在は、気づかぬうちに会社の成長機会を逃し、リスクを増大させる時限爆弾のようなものです。早めの対策が肝心です。

財務の専門家に相談すべき3つのケース

財務の専門家に相談すべき3つのケース

中小企業が自社だけで高度な財務課題に対応するのは容易ではありません。会社の将来を大きく左右する重要な局面では、客観的な視点と専門知識を持つ外部の専門家を頼ることが成功の確率を高めます。

財務のプロに相談を検討すべき3つの代表的なケースをご紹介します。

  1. 数千万円以上の大規模な資金調達を成功させたい
  2. M&Aを検討しているが、相手企業の財務状況調査(デューデリジェンス)に不安がある
  3. 会社の資金繰りが悪化しており、原因調査と改善策の立案を急いでいる

ケース1:数千万円以上の大規模な資金調達を成功させたい

数千万円から億単位の大規模な資金調達は、融資元の金融機関や投資家を納得させる、より精緻な事業計画と交渉戦略が不可欠です。

調達額が大きくなるほど、審査のハードルは格段に上がり、計画の実現可能性や企業の将来性を厳しく評価されるからです。

財務の専門家は、客観的な市場分析や財務予測に基づいた説得力のある事業計画書を作成し、複数の金融機関の中から最も有利な条件を引き出すための交渉を代行します。これにより、経営者は本業に集中しながら、事業成長に必要な資金を最適な形で確保できる可能性が高まります。

ケース2:M&Aを検討しているが、相手企業の財務状況調査(デューデリジェンス)に不安がある

M&Aの成功は、買収対象企業の価値やリスクを正確に見抜く「財務デューデリジェンス」にかかっていると言っても過言ではありません。

決算書に現れない簿外債務や、将来の業績を悪化させる要因を見逃したまま買収を進めると、後に深刻な損失を被るリスクがあります。

財務の専門家は、第三者の客観的な立場で対象企業の財務状況を徹底的に調査し、隠れたリスクを洗い出します。これにより、買収価格が妥当かどうかを判断し、リスクを織り込んだ上で安全にM&Aを実行するための的確なアドバイスを提供します。

ケース3:会社の資金繰りが悪化しており、原因調査と改善策の立案を急いでいる

資金繰りの悪化は、放置すれば倒産に直結しかねない緊急事態であり、迅速かつ的確な原因究明と対策が求められます。

売上の減少、過剰な在庫、回収できない売掛金など、原因は様々ですが、社内の人間だけでは根本的な問題に気づけないことも少なくありません。

財務の専門家は、キャッシュフローの動きを詳細に分析して資金繰り悪化の真因を特定します。そして、即効性のある改善策(不要資産の売却など)と、中長期的な再発防止策(収益構造の見直しなど)を立案・実行。危機的な状況において、冷静な判断と実行力で会社の立て直しをサポートします。

💬 ひとことポイント
「大きな資金調達」「M&A」「資金繰りの悪化」は会社の運命を左右する三大テーマ。迷ったらすぐに専門家に相談することが、最善の結果につながります。

財務に関するよくある質問

財務の世界は専門性が高く、多くの疑問が寄せられます。ここでは、キャリアに関する質問から、学習方法、企業規模による仕事内容の違いまで、財務に関するよくある質問にQ&A形式で分かりやすくお答えします。

Q1. 財務の仕事は未経験からでも挑戦できますか?

結論から言うと、未経験から財務職に挑戦することは不可能ではありませんが、簡単な道ではありません。 多くの企業は専門知識や実務経験を重視するため、経験者の方が有利な傾向にあります。

しかし、金融機関での勤務経験や、経理部門で財務諸表の作成に関わった経験など、関連性の高い職務経験があれば、未経験でも十分にアピールできます。まずは経理職として経験を積みながら簿記などの資格を取得し、財務部門へのキャリアチェンジを目指すのが現実的なキャリアパスの一つです。

Q2. 財務の勉強は何から始めるべきですか?

財務の勉強は、まず「会計」の基礎を学び、財務諸表(貸借対照表、損益計算書など)を読めるようになることから始めるのが最も効率的です。 なぜなら、財務分析や戦略立案は、すべて会計データという土台の上になりたっているからです。

具体的には、日商簿記検定2級の取得を目指して学習することをおすすめします。簿記を学ぶことで、会社のお金がどのように記録され、決算書が作成されるのかという一連の流れを体系的に理解できます。基礎が固まったら、専門書やオンライン講座などを活用して、財務分析や企業価値評価といった、より実践的な分野へと学習を進めていくと良いでしょう。

Q3. 大企業と中小企業で財務の仕事内容に違いはありますか?

はい、企業規模によって財務の仕事内容は大きく異なります。

大企業では財務部と経理部が完全に独立しており、担当業務が細分化・専門化されています。資金調達、M&A、IRなど、特定の分野のスペシャリストとして深い知識を追求できます。

対して中小企業では、一人の担当者が経理と財務の両方を兼任することが一般的です。日々の資金繰り管理から金融機関との交渉、経営計画の策定まで、幅広く携わるため、経営全体を見渡すゼネラリストとしての経験を積むことができます。

まとめ:財務の理解は、企業の未来を創る第一歩

この記事では、財務の役割や経理との違い、具体的な仕事内容から必要なスキルまで、網羅的に解説してきました。

過去の取引を記録する「守りの経理」とは対照的に、財務は未来の企業価値を最大化するための「攻めの管理部門」です。財務戦略の立案から資金調達、M&Aの実行まで、その仕事は会社の成長と存続に直結する重要な役割を担っています。

財務の仕事は、単に数字を扱うだけではありません。財務諸表を分析して課題を発見し、経営陣や金融機関と交渉しながら、会社の未来を創っていく戦略的な仕事です。この記事を読んで財務への理解を深めることが、あなたの会社の未来をより良い方向へ導く、確かな第一歩となるでしょう。

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