法人の「経費」、何が計上できて何ができないか、正確に把握できていますか?知識が曖昧なまま処理していると、税務調査で否認されるリスクが高まります。この記事では、2026年最新の税制に基づき、法人が経費にできる25項目を具体例とともに解説。節税戦略や税制改正の最新情報まで網羅しているので、経営判断にそのまま活かせます。
1. そもそも法人の「経費」とは?個人事業主との決定的な違い
法人の経費とは、事業を継続・運営していくうえで必要不可欠な支出のことです。最も重要な判断基準は、その支出が「事業で使っているか否か」という一点に尽きます。
個人事業主が経費にできるのは事業に直接必要な費用のみですが、法人は会社と経営者が別人格として扱われます。そのため、役員報酬・社宅の家賃補助・福利厚生費・健康診断費用など、より幅広い項目を経費として計上できます。プライベートな支出を無理やり経費にすれば、税務調査で否認されるリスクが高まる点は要注意です。
2. 経費を制する者が経営を制す!節税だけではない3つのメリット

経費を正しく管理することは、単なる税金対策にとどまりません。適切な経費計上は、手元の現金を最大化し、会社を長期的な成長へと導く武器になります。
主なメリットは以下の3つです。
- 法人税の負担軽減:事業に必要なものを計画的に購入すれば、現金の流出を防ぎつつ税金も抑えられます。
- 従業員のモチベーション向上:健康診断や社宅制度の整備で、働きやすい環境が整います。
- 投資対効果の明確化:無駄な支出を削り、広告宣伝費など将来の売上につながる資金を回せます。
それぞれ詳しく解説していきます。
💬 ひとことポイント 節税はあくまで手段。本当のゴールは「手元に現金を残し、次の成長へ投資すること」です。この視点を持つだけで、経費の使い方が変わります。
3.【コラム】9割の経営者が陥る経費の勘違い
多くの経営者が陥る罠は、節税を目的に無駄なお金を使ってしまうことです。経費を「消費」「投資」「浪費」の3つに分けて考える視点が、強い財務基盤を作るカギです。
家賃や事務用品などの固定費は「消費」。広告宣伝費や給与増額など将来の売上に直結するものは「投資」です。一方、売上につながらない趣味のゴルフやスーツ代・美容院代などを無理に経費にするのは、ただの「浪費」にすぎません。事業との関連性が薄ければ経費と認められず、お金をドブに捨てる結果になります。
法人が経費にできるもの25選【2026年最新・具体例で徹底解説】

法人経営において、経費として計上できる科目は多岐にわたります。2026年現在の税制に基づき、代表的な25項目を具体例とともに解説します。
以下の項目が主な対象です。
- 人件費(給与・賞与・パート・アルバイト)
- 役員報酬
- 退職金
- 福利厚生費
- 地代家賃
- 水道光熱費
- 旅費交通費
- 通信費
- 消耗品費
- 減価償却費
- 接待交際費
- 会議費
- 広告宣伝費
- 支払手数料
- 修繕費
- 租税公課
- 保険料
- 車両関連費
- リース料
- 新聞図書費・研修費
- 外注費
- 荷造運賃
- 寄附金
- 諸会費
- 研究開発費
それぞれ詳しく解説していきます。
1. 人件費(給与・賞与・パート・アルバイト)
従業員に支払う給与や賞与は、人件費として全額経費に計上できます。 残業代・通勤手当・住宅手当も同様です。パートやアルバイトへの賃金も同じ扱いです。ただし、同居する家族への給与は、実態を伴う労働業務がなければ経費として認められません。勤務記録の保存が必須です。
2. 役員報酬(定期同額給与・事前確定届出給与)
経営者自身が受け取る役員報酬も、ルールを守れば経費として処理できます。 毎月同額を支給する「定期同額給与」が基本です。役員へのボーナスは「事前確定届出給与」として、あらかじめ税務署への届出が必要です。届出と異なる支給をすると全額が経費否認されるため、厳格な管理が求められます。
3. 退職金(役員退職金・従業員退職金)
退職金も人件費の一部として経費計上が可能です。 一時金だけでなく、企業型確定拠出年金などの積立金も対象です。役員への退職金は、金額が不当に高額でない限り税法上の経費として扱われます。あらかじめ退職金規定を整備しておくことが、トラブル防止の秘訣です。
4. 福利厚生費(社員旅行・健康診断・慶弔金)
全従業員を対象に、常識的な金額で行う支出が福利厚生費として経費になります。 健康診断費用・慶弔見舞金・条件を満たした社員旅行などが該当します。役員だけが利用できる豪華な旅行は福利厚生費ではなく、役員賞与とみなされる点に注意しましょう。
5. 地代家賃(事務所・店舗・駐車場)
事業で使用するオフィス・店舗・倉庫の家賃は地代家賃として経費になります。 共益費・管理費・月極駐車場料金も対象です。バーチャルオフィスやシェアオフィスの利用料も経費処理できます。自宅兼事務所の場合は、事業使用面積・時間に応じて家事用と事業用を分ける必要があります。
6. 水道光熱費(電気・ガス・水道)
事務所や店舗で発生するライフラインの費用は、水道光熱費として経費計上します。 電気・水道・ガス・灯油代が含まれます。自宅兼事務所の場合は、客観的かつ合理的な基準で事業用と家事用を区別しましょう。根拠があいまいだと税務調査で指摘されやすいため、説明できる記録を残すことが重要です。
7. 旅費交通費(出張旅費・通勤手当・高速代)
営業・出張に伴う移動費用は旅費交通費として経費になります。 電車・バス・タクシー・新幹線・航空券・宿泊費も対象です。旅費規程を整備しておけば出張手当(日当)も経費化でき、受け取る側には非課税のメリットがあります。出張中の観光費用は除外が必要です。
8. 通信費(電話代・インターネット・切手代)
事業遂行のための通信手段にかかる費用は通信費として経費にできます。 インターネット回線料金・固定電話・業務用携帯の利用料・郵便料金が代表例です。業務用クラウドサービスの月額利用料も同様に処理できます。個人スマートフォンを業務に併用している場合は、事業利用分を按分する必要があります。
9. 消耗品費(文房具・10万円未満のPC・コピー用紙)
取得価額が10万円未満、または耐用年数が1年未満のものが消耗品費の対象です。 コピー用紙・インクカートリッジ・文房具・10万円未満のパソコンなどを一括で経費計上できます。日々の業務に欠かせない支出であるため、法人用クレジットカードを活用して精算業務を効率化することをおすすめします。
10. 減価償却費(車両・機械・建物など固定資産の費用配分)
10万円以上の高額な資産は、減価償却費として数年に分けて経費計上します。 国税庁が定めた耐用年数に従い、少しずつ費用化するのがルールです。現金が出ないのに経費を計上できるため、財務改善に効果的です。中小企業には2026年4月1日以後取得の資産から、40万円未満を一括経費化できる特例が用意されています(年間上限300万円・従業員400人以下の要件あり)。
11. 接待交際費(飲食代・手土産・ゴルフ代・慶弔金)
取引先との関係構築を目的とした支出は、接待交際費として経費になります。 資本金1億円以下の中小企業の場合、年間800万円まで、または接待飲食費の50%のいずれか有利な方を選択して損金算入できます(適用期限:2027年3月31日まで開始の事業年度)。売上につながらないゴルフなどは単なる浪費です。誰とどのような目的で会食したか、領収書の裏にメモを残す習慣をつけましょう。
12. 会議費(会議室利用料・会議中の飲食代)
社内外の打ち合わせにかかった費用は会議費として経費計上します。 1人当たりの飲食費が1万円以下の打ち合わせを兼ねた飲食は、交際費ではなく会議費として処理できます(2024年4月1日以後の支出から適用)。会議費には年間上限がないため、節税に有効です。単なる社内飲み会は対象外のため、実態のある打ち合わせであることを明確にしましょう。
13. 広告宣伝費(Web広告・チラシ・看板・ノベルティ)
自社の商品・サービスを広めるための費用は広告宣伝費として経費になります。 Web広告の出稿料・チラシ印刷代・ホームページ制作費・社名入りカレンダーなどが代表例です。未来の売上を作るための投資性が高い経費であり、事業拡大を目指すなら削るべきではない項目です。
14. 支払手数料(振込手数料・仲介手数料・コンサル費用)
業務に関連して発生する各種手数料は、支払手数料として経費になります。 銀行振込手数料・事務所契約の仲介手数料・税理士や弁護士へのコンサルティング報酬などが該当します。日常業務で頻繁に発生するため記帳漏れに注意し、ネットバンキングなどを活用してコストを抑える工夫も大切です。
15. 修繕費(建物修繕・機械メンテナンス・原状回復費用)
事業で使用する建物や機械の維持管理・原状回復にかかる費用が修繕費の対象です。 オフィスの壁紙張り替えや壊れたPCの修理などが該当します。一方、建物の価値を高めたり使用年数を延ばすような大規模工事は「資本的支出」として固定資産扱いになります。修繕か資本的支出かの判断は複雑なため、専門家への相談が確実です。
16. 租税公課(印紙税・固定資産税・自動車税・事業所税)
一部の税金や公的な手数料は、租税公課として経費になります。 印紙税・固定資産税・社用車の自動車税・商工会議所の会費などが該当します。ただし法人税や法人住民税(利益に対してかかる税金)は経費にはできません。経費にできる税金とできない税金を混同しないよう、種類ごとに正しく仕訳しましょう。
17. 保険料(火災保険・自動車保険・賠償責任保険)
事業活動のリスクに備えるための保険料は、経費として計上できます。 事務所の火災保険・社用車の自動車保険・賠償責任保険などが対象です。法人が契約者となる生命保険も、種類や内容によっては保険料の一部または全部を経費にできます。ただし、保険金を受け取った際は会社の利益として課税対象になる点に注意が必要です。
18. 車両関連費(ガソリン代・車検費・駐車場代)
事業で使用する車の維持費は、車両関連費として経費になります。 ガソリン代・車検費用・駐車場代・エンジンオイル交換費用などが該当します。高速道路料金や自動車税は旅費交通費や租税公課として処理することも可能ですが、一度決めた勘定科目は継続使用がルールです。事業に関係しない趣味の高級車は経費にはなりません。
19. リース料(複合機・社用車・OA機器)
事業用備品をリース契約で利用している場合、月々の支払いはリース料として経費になります。 コピー機・社用車・パソコンなどのOA機器が代表例です。初期費用を抑えつつ毎月の支払いを経費にできるのがメリットです。ただし、契約期間中は中途解約できないケースが多いため、本当に必要な設備かしっかり見極めることが重要です。
20. 新聞図書費・研修費(書籍・セミナー参加費・資格取得費用)
業務に必要な知識を得るための費用は、新聞図書費や研修費として経費になります。 専門書・業界紙の定期購読料・スキルアップのためのセミナー参加費などが対象です。有料のWeb記事やデータベース利用料も含まれます。事業と無関係の趣味の雑誌や個人的な自己啓発費用は経費になりません。
21. 外注費(業務委託費・フリーランスへの発注)
社内業務を外部の企業やフリーランスに委託した際の支払いは、外注費として経費になります。 Webサイト保守・ライティング・デザイン制作・コンサルティングなどが該当します。社会保険料の負担が発生しないのがメリットです。ただし、細かく指揮命令を出して従業員同様に働かせると、税務調査で「給与」と認定されるリスクがあります。
22. 荷造運賃(宅配便・郵送料・梱包資材)
商品を顧客に届けるためにかかった費用は、荷造運賃として経費になります。 宅配便の発送料や梱包資材(段ボール・ガムテープ・緩衝材など)が該当します。通信費と混同しやすいですが、商品発送に直接関わるものが荷造運賃です。頻繁に発生するため、運送会社と法人契約を結び、単価を下げる工夫が必要です。
23. 寄附金(国・地方公共団体・特定公益増進法人への寄付)
法人が行った寄付も、一定の制限のもとで経費になります。 国や地方自治体への寄付金は全額が税法上の経費として認められます。一方、NPO法人などへの寄付金は、資本金や利益の額に基づく限度額までしか経費にできません。社会貢献を通じた企業ブランド価値向上という意味合いもありますが、税務上のルールは複雑です。
24. 諸会費(業界団体年会費・商工会議所会費)
事業に関連する団体への加入費用や年会費は、諸会費として経費になります。 商工会議所の会費・同業者の組合費・法人会の会費などが該当します。ただし、社長個人が参加しているロータリークラブなどの会費は、会社の業務と直接関係がないと判断され、経費否認されるケースがあるため注意しましょう。
25. 研究開発費(新製品開発・技術研究・AI活用の実証実験)
新しい製品や技術を生み出すための費用は、研究開発費として経費になります。 試作材料費・外部研究機関への委託費・AI技術の実証実験費用などが対象です。研究開発税制は令和8年度改正で「戦略技術領域型」が新設されるなど拡充されており、税額控除を活用すれば法人税の負担をさらに軽減できる可能性があります。
これは経費にできない!税務調査で指摘されないための7つの注意点

経費になると思い込んで計上した支出が、税務調査で否認されるケースは後を絶ちません。追徴課税などのペナルティを防ぐため、絶対に経費にしてはいけない7つの項目を解説します。
7つの注意点は以下の通りです。
- 事業に関係ない個人的な支出
- 法人税・法人住民税の本税
- 罰金・科料・過料・延滞税
- 届け出をしていない役員賞与
- 資本的支出
- 損金算入限度額を超えた交際費・寄附金
- 同族会社における不当な取引
それぞれ解説していきます。
1. 事業に関係ない個人的な支出
経営者やその家族のプライベートな支出は、一切経費にはなりません。 自宅用の家具・家族との外食・個人的な趣味の旅行などは除外必須です。スーツ代や美容室の料金も一般的には個人の生活費とみなされます。公私混同を避けることが、健全な財務の第一歩です。
2. 法人税・法人住民税の本税(法人事業税は損金算入可)
利益に対して課せられる法人税と法人住民税の本税は、経費にはできません。 ただし法人事業税(および特別法人事業税)は申告書提出の翌事業年度に損金算入できます。固定資産税や印紙税などの「租税公課」とは区別し、種類ごとに正しい勘定科目で処理しましょう。
3. 罰金・科料・過料・延滞税
法律やルールを破ったことによるペナルティは、経費として認められません。 交通違反の反則金・延滞税・加算税は全額自己負担です。意図的な隠蔽による重加算税は、過少申告に代えて課される場合35%、無申告に代えて課される場合は40%と税率が高く、資金繰りを大きく圧迫します。期限内の正しい申告と納付が最大の防衛策です。
※1 出典:加算税の概要|国税庁
4. 届け出をしていない役員賞与
役員へのボーナスは、事前の手続きを踏まないと全額が経費否認されます。 「事前確定届出給与」として届け出た金額と1円でも異なる支給、または支給日がずれた場合も同様です。業績が良いからといって期末に突然役員へボーナスを支払う行為は認められません。役員報酬は計画的に設定し、決めたルールを厳密に守り続けることが必要です。
5. 資本的支出(修繕費との違いに要注意)
建物や機械を直した際、価値を高める工事は「資本的支出」となり、一括で経費にはできません。 使用年数を延ばしたり性能を向上させる工事は固定資産として計上が必要です。例えば雨漏りの修理は修繕費ですが、外壁の全面リニューアルは資本的支出になる可能性が高いです。その年の利益に大きく影響するため、慎重な判断が求められます。
6. 損金算入限度額を超えた交際費・寄附金
接待交際費や寄附金は、会社の規模に応じて経費にできる上限が決まっています。 資本金1億円以下の中小企業の場合、年間800万円まで、または接待飲食費の50%のいずれか有利な方を選択できます。売上につながらない接待やキャバクラでの遊興費は、そもそも交際費とも認められず役員賞与扱いになるリスクがあります。
7. 同族会社における不当な取引
経営者の一族で株式の大半を握る同族会社の場合、経営者個人と会社間の取引は厳しくチェックされます。 社長の土地を相場より極端に高い家賃で会社に貸す行為などは、不当な取引として否認されます。身内の取引でも、第三者と同じ適正な価格でなければなりません。
【2026年度税制改正】法人の経費に影響する5つの重要変更点

税制は毎年改正されるため、最新情報のキャッチアップなしに最適な経費戦略は立てられません。2026年に施行される、法人経営に直結する5つの重要な改正ポイントを整理しました。
5つのポイントは以下の通りです。
- 少額減価償却資産の特例が30万円から40万円未満に拡充
- 賃上げ促進税制の再編(中小企業向けは継続、最大控除率は45%→35%に)
- 新設「特定生産性向上設備等投資促進税制」で即時償却が可能に
- 「戦略技術領域型」研究開発税制の創設(AI・量子・バイオ等)
- 防衛特別法人税の導入(2026年4月スタート)
それぞれ解説していきます。
1. 少額減価償却資産の特例が30万円から40万円未満に拡充(2026年4月取得分から・従業員400人以下の中小企業が対象)
2026年4月以降に取得した資産については、一括で経費にできる上限が30万円未満から40万円未満へ引き上げられます。 やや高額なパソコンや専用ソフトウェアもその年の経費として処理しやすくなります。年間合計300万円の上限は変わらないため、計画的な設備投資が必要です。最新IT機器の導入など、未来への投資を前倒しする好機と言えます。
2. 賃上げ促進税制の再編:大企業向けは2026年3月末で廃止、中堅・中小企業向けは変更あり
従業員の給与を増やすことで税金が安くなる制度が見直されます。 中小企業向けの制度は継続されるものの、教育訓練費による上乗せ措置がなくなり、税額控除の最大割合が45%から35%へ下がります。大企業向けは2026年3月末で廃止、中堅企業向けは賃上げ率要件が引き上げられます。税額控除だけに頼らない持続可能な賃金設計が求められます。
3. 新設「特定生産性向上設備等投資促進税制」で即時償却が可能に(機械装置1台160万円以上、ソフトウェア70万円以上など取得金額要件あり)
一定要件を満たす機械装置(1台160万円以上)やソフトウェア(70万円以上)などを導入した場合、購入額の全額をその年の経費にできる「即時償却」が可能になります。 中小企業は投資総額5億円以上かつ投資利益率15%以上が見込まれること、経済産業大臣の確認取得など事前手続きが必要です。自社の生産ラインやシステム刷新に積極的に活用しましょう。
4. AI・量子・バイオ等の国家戦略技術分野が対象の「戦略技術領域型」研究開発税制が創設
AI・量子コンピューター・バイオテクノロジーなど特定分野の研究開発費について、通常よりも高い控除率で税金から差し引くことが可能になります。 新技術を取り入れてビジネスモデルを変革しようとする企業に大きな追い風です。新たな価値を生み出す研究開発は、企業を存続させるための必須の投資と言えます。
5. 2026年4月スタートの「防衛特別法人税」が導入(基準法人税額から500万円の基礎控除を差し引いた残額に4%を課税)
法人税に上乗せされる新税として、基準法人税額から500万円を差し引いた金額に対し4%が課されます。 500万円の基礎控除があるため、基準法人税額が500万円以下の中小企業には実質的な負担増は生じません。課税所得ベースで逆算すると、年間約2,400万円が課税ボーダーラインです。業績が急拡大している企業は先を見据えた経費戦略が必要です。
※2 出典:令和6年度税制改正の大綱|財務省
経費を利益に変える!経営者のための節税戦略7選

節税の目的は、会社に現金を残し次の成長へつなげることです。無駄な浪費を削り、生きたお金の使い方をするための、実践的な7つの節税戦略をご紹介します。
7つの戦略は以下の通りです。
- 決算前に40万円未満の備品を購入する
- 役員報酬を最適化する
- 社宅制度を導入する
- 出張手当(日当)を戦略的に活用する
- 1人1万円以下の飲食費を「会議費」に変える
- 倒産防止共済を活用する
- 未払費用・未払金を活用する
それぞれ解説していきます。
1. 決算前に40万円未満の「未来への投資」となる備品を購入する(2026年4月以降取得分から適用・年間合計300万円が上限)
利益が想定より多く出そうな場合は、決算前に必要な設備を整えましょう。 2026年4月以降は40万円未満の備品を特例で一括経費計上できます。古くなったPCの買い替えや業務効率化ソフトの導入など、来期以降の売上に貢献する投資性の高いものを選ぶのがポイントです。決算日までに納品・使用開始していなければ経費にできない点に注意してください。
2. 役員報酬を最適化し、会社のキャッシュフローを最大化する
経営者自身の報酬額の見直しは、最も効果的な財務戦略の一つです。 法人税と個人の所得税・住民税・社会保険料のトータルバランスを計算し、最適な金額を設定しましょう。報酬を高くしすぎると個人の税負担が重くなり、手元に残るお金が減ります。税理士のシミュレーションを活用し、会社と個人の両方にお金が残る答えを見つけることが重要です。
3. 社宅制度を導入して、役員の手取りと会社の利益を両立させる
会社名義で賃貸契約を結び、役員や従業員に社宅として貸し出すことで、家賃の一定割合を経費に計上できます。 役員・従業員は安い負担で住め、実質的な手取りが増えるため、給与増額より高い節税効果が得られます。導入には社宅規程の作成と適正な賃料の徴収など、税務上のルールを厳格に守ることが求められます。
4. 出張手当(日当)を「会社の成長機会」として戦略的に活用する
旅費規程に基づいて妥当な出張手当を支給すれば、会社は全額を経費にでき、受け取る側は非課税の収入となります。 実費精算の手間も省けるため、経理業務の効率化にもつながります。規程の作成については、税務署に否認されないよう専門家のアドバイスを受けるのが安心です。
5. 1人1万円以下の飲食費を「未来の売上を作る会議」に変える
1人当たり1万円以下の打ち合わせを兼ねた飲食は、上限のある交際費ではなく全額経費になる「会議費」として処理できます。 単なる接待という浪費ではなく、情報交換や商談の場という投資に変える意識が重要です。議事録や参加者リストを残し、事業に関連する会議であったことを客観的に証明できるようにしておくことが必須です。
6. 倒産防止共済(経営セーフティ共済)で守りを固め、攻めの経営を実現する
掛金は年間最大240万円まで全額を経費に算入でき、40カ月以上納付すれば解約時に100%戻ってきます。 利益が出ている年に掛金を前納して経費を増やす効果は引き続き有効です。ただし2024年10月1日以降の制度改正により、解約日から遡って2年以内に支払った掛金は損金算入できなくなりました。長期活用を前提とした計画が重要です。
7. 未払費用・未払金を活用し、決算書の「見た目」を整える
当期中にサービスを利用していても支払いが来期になる費用は、「未払費用」として当期の経費に計上できます。 支払いがまだでも、発生している費用を漏れなく拾い上げることで利益を正確に圧縮できます。決算書の数字を適正に整えることは、金融機関からの評価を高め、将来の資金調達を有利にするための地道な投資でもあります。
その経費、本当に最適ですか?財務のプロと見直す「強い会社」の作り方

経費の使い方を見直すことは、会社の未来をデザインする作業と言えます。目先の節税テクニックにとらわれず、本質的な財務改善へと踏み出すための視点をお伝えします。
1. 節税の先にある「財務改善」というゴール
手元の現金をいかに多く残し、次の成長へ投資できるかが、強い会社を作る条件です。 節税はあくまで手段であり、目的は財務の健全化です。浪費を削り、消費を抑え、投資へ資金を回すサイクルを回し続けることが、外部環境の変化にも揺るがない強固な財務基盤につながります。
2. 事業計画書と資金繰り表があなたの会社の未来を映し出す
まず「資金繰り表」で現状の無駄や資金ショートのリスクを可視化することが第一歩です。 その上で3〜5年後のビジョンを描いた「事業計画書」を作成し、必要な投資額を逆算します。数字の裏付けがある事業計画は銀行融資を引き出す強力な武器となり、会社の成長スピードを高めてくれます。
3. Encoachが提供する「財務と向き合う仕組み」とは
Encoachは、経営者が本業に集中しながらも、プロの目線で毎月の財務状況をチェックし、最適な戦略を提案する仕組みを提供しています。 単なる税務申告だけでなく、将来の資金予測・無駄な経費の削減案など、経営判断に直結するアドバイスを行います。税理士とは異なる財務パートナーを持つことで、成長の壁を突破するきっかけが得られます。

法人の経費に関するよくある5つの質問【経営者向けQ&A】
法人の経費や税金について、経営者から寄せられる代表的な疑問をQ&A形式でまとめました。
Q1. 会社の現金が少ないのに、なぜ税金はこんなに高いのですか?
手元の現金と帳簿上の利益は必ずしも一致しないからです。借入金の元本返済や高額資産の購入は、現金が出ていっても全額をその年の経費にはできません。そのため「お金はないのに利益だけ計上される」という現象が起こります。損益計算書だけでなく、資金繰り表を毎月チェックする体制が必要です。
Q2. 赤字なのに税金を払うことがあるって本当ですか?
本当です。法人住民税の「均等割」は、利益の有無に関係なく資本金や従業員数に応じて毎年課税されます。小規模な会社でも年間約7万円の支払い義務があるため、資金計画に含めておくことが必要です。赤字だから税金はゼロ、と油断していると思わぬ資金不足を招きます。
Q3. 顧問税理士がいますが、セカンドオピニオンとして相談できますか?
もちろん可能です。税理士によって得意分野は異なり、過去の数字をまとめるのが得意な税理士もいれば、資金繰りや財務戦略に強いコンサルタントもいます。今の税理士との関係を維持したまま別の専門家の意見を聞く経営者は増えており、見落としていた節税やコスト削減のヒントが見つかることも少なくありません。
Q4. 2026年4月から始まる防衛特別法人税は中小企業にどれくらい影響しますか?
大半の中小企業には実質的な影響はありません。500万円の基礎控除があるため、基準法人税額が500万円以下の会社には新たな税負担は発生しません。課税所得ベースで逆算すると、年間の課税所得が約2,400万円を超えた法人が課税のボーダーラインです。ただし、業績が急拡大している企業は先を見据えた経費戦略を立てておくことが無難です。
Q5. 財務コンサルティングでは具体的に何をしてくれるのですか?
決算書などの過去データをもとに、無駄な経費の洗い出し・資金繰り表の作成・銀行からの資金調達サポート・最適な役員報酬のシミュレーションなどを行います。経営者がお金の不安から解放され、本業の売上作りに専念できる環境を整えることが最大の目的です。会社の健康状態を定期的に診断し、最適な処方箋を出す「お金のかかりつけ医」のような存在と考えてください。
まとめ:経費を「コスト」から「未来への投資」へ。正しい知識で会社の可能性を最大化しよう
経費を単なる支出と捉えるか、未来の売上を作るための投資と捉えるかで、会社の成長スピードは劇的に変わります。正しい経費の知識は、あなたの会社を守り、強くするための強力な武器になります。
法人が経費にできる項目の幅広さを理解し、消費・浪費・投資を冷静に見極めることが財務改善の第一歩です。広告宣伝費の前倒し投資や従業員への還元は、会社を大きくするための立派な投資になります。
税制改正などの最新情報を常にアップデートし、必要であればEncoach株式会社のような財務のプロフェッショナルを活用してください。経費を戦略的に操り、現金が潤沢に回る「強い会社」を作り上げましょう。
