「不採算事業を切り離して主力事業に集中したい」「後継者がいないため特定の事業だけを他社に譲りたい」——そんな悩みを抱える経営者は少なくありません。 会社分割や事業譲渡は、特定の事業を別会社に引き継ぐための有効なM&A手法です。この記事では、会社分割と事業譲渡の法務・税務面での違いを徹底的に比較し、メリットやデメリットを分かりやすく解説します。 最後まで読むことで、自社の状況に合わせた手法選びと、スムーズな事業承継のための具体的なステップが明確になるでしょう。
3分でわかる!会社分割と事業譲渡の全体像

事業の一部を他社に引き継ぐ手法には、主に会社分割と事業譲渡の2つがあります。契約ベースの売買か、組織再編としての法的枠組みかで、手続きや税負担が大きく変わってきます。
まずはそれぞれの仕組みと、株式譲渡との違いについて見ていきましょう。
会社分割とは?事業を切り出す組織再編の手法
会社分割とは、企業が特定の事業を切り出し、別の会社に引き継がせるM&Aの手法です。 会社法で定められた組織再編行為にあたり、事業に関する権利や義務を丸ごと引き継ぐ「包括承継(ほうかつしょうけい)」という仕組みを取ります。
個別の契約や財産を一つずつ移すのではなく、パッケージとして一括で移管できるのが大きな特徴です。 雇用契約・取引先契約・多くの許認可を原則として自動的に引き継げるため、事務手続きの負担を大幅に軽減できる手法として活用されています。
新設分割:新しい会社に事業を承継させる
新設分割は、新しく会社を設立し、そこに事業を移す方法です。 グループ内の組織再編や、特定事業を子会社として独立させたい場面に適しています。
既存のルールやしがらみがない状態で事業をスタートでき、新しい組織文化を形成しやすいのが魅力です。 将来の事業売却を見据えて成長事業だけを切り出し、機動的な意思決定を実現するケースなどで活用されています。
吸収分割:既存の会社に事業を承継させる
吸収分割は、すでに存在する別の会社に特定の事業を引き継がせる方法です。 新会社の設立が不要なため、スピーディに事業を移転できる利点があります。
M&Aで第三者企業に事業を譲渡する際によく利用されるスキームです。 既存の事業基盤や顧客を持つ会社に合流することで、早期に相乗効果(シナジー)を生み出しやすく、事業成長を加速できる点が期待されています。
事業譲渡とは?事業を売買するM&Aの手法
事業譲渡は、会社が運営する事業の一部または全部を、契約によって第三者に売却する手法です。 会社分割とは異なり、組織再編ではなく資産の売買契約として扱われます。 譲り渡す資産や負債、契約内容を当事者間で個別に選ぶ「個別承継」の仕組みを取ります。
たとえば飲食事業と小売事業を持つ会社が、飲食事業だけを売却したい場合、店舗設備や特定のスタッフだけを指定して譲渡できます。 承継対象を選別できるため、簿外債務(帳簿に記載されていない債務)を引き継ぐリスクを回避しやすいのが大きな利点です。
【補足】株式譲渡との違いは?3つのM&A手法を比較
株式譲渡は、会社の株式を売却することで経営権ごと買い手に譲る手法です。 事業譲渡や会社分割が特定事業だけを対象にするのに対し、株式譲渡は会社全体を丸ごと引き継ぐ点が大きく異なります。
手続きがシンプルで税負担も比較的軽いため、中小企業のM&Aでは現在も最も多く利用されている手法です。
【徹底比較】会社分割と事業譲渡の13の違い一覧表
会社分割と事業譲渡は目的が似ていても、法的な扱いから税金のルールまで多くの違いがあります。手続きの簡便さや税務面で一長一短があり、選択を誤ると想定外のコストが発生する恐れも。
全体像を把握するため、重要な13のポイントを一覧表にまとめました。
| 比較項目 | 会社分割 | 事業譲渡 |
| 会社法上の扱い | 組織再編行為 | 資産の売買(取引行為) |
| 承継の仕組み | 包括承継(丸ごと引き継ぐ) | 個別承継(個別に引き継ぐ) |
| 債権者保護手続き | 原則必要 | 不要 |
| 債権者の事前承諾 | 不要 | 個別に必要 |
| 従業員の同意 | 原則不要(労働契約承継法による) | 個別に必要 |
| 許認可の引き継ぎ | 原則引き継げる(一部例外あり) | 原則引き継げない(再取得が必要) |
| 簿外債務の引き継ぎ | 引き継ぐリスクがある | 引き継がない |
| 対価の支払い | 株式または現金 | 現金が一般的 |
| 消費税 | 不課税(課税対象外) | 課税される(課税資産のみ) |
| 登録免許税・不動産取得税 | 軽減措置あり | 軽減措置なし |
| 繰越欠損金の引き継ぎ | 一定の要件を満たせば可能 | 引き継げない |
| 取引先との契約 | 自動的に引き継がれる | 契約の巻き直しが必要 |
| 競業避止義務 | 法律上の定めなし | 原則20年間課される |
会社分割と事業譲渡の法務・手続き上の違い

会社分割と事業譲渡では、契約の引き継ぎ方や社員の扱いに大きな違いがあります。法的な性質が「組織再編」か「取引行為」かによって、求められる手続きの重さが変わってきます。
ここからは、法務・手続き面での重要な5つの違いを見ていきましょう。
- 契約・承継の範囲:包括承継か、個別承継か
- 債権者保護手続き:必要か、原則不要か
- 従業員の同意・転籍:個別の同意は必要か
- 許認可の引き継ぎ:業種によって扱いが異なる
- 手続きの期間とフロー:どちらが早く完了できる?
それぞれ解説していきます。
1. 契約・承継の範囲:包括承継か、個別承継か
会社分割は包括承継の仕組みを取り、資産や契約をまとめて一括で引き継げます。 取引先が数百社ある大規模事業でも、一つひとつ契約を結び直す必要がなく、事務負担を大幅に削減できるのが強みです。
一方、事業譲渡は個別承継であり、引き継ぐ資産や契約を個別に選んで移転させます。 欲しい資産だけを選べる柔軟性がある反面、取引先が多いほど契約の巻き直しに膨大な手間と時間がかかるのが難点です。
2. 債権者保護手続き:必要か、原則不要か
債権者保護手続きとは、銀行や取引先が不利益を被らないよう、事前に知らせて異議申し立ての期間を設ける法的ルールです。 会社分割では負債も自動的に承継会社へ移るため、会社法でこの手続きが厳格に義務付けられています。
対して事業譲渡は、負債の引き継ぎに個別の契約ごとに相手の同意を直接得る仕組みです。 そのため、官報公告を伴う全体としての債権者保護手続きは不要とされています。
3. 従業員の同意・転籍:個別の同意は必要か
事業譲渡では、従業員を新しい会社に移す際、一人ひとりから個別に同意を得て再契約が必要です。 同意が得られなければ、優秀な人材を引き継げないリスクが生じます。
会社分割では労働契約承継法に基づき、対象事業の従業員の雇用契約は個別同意なしで自動的に承継されます。 ただし、事前通知や十分な協議を行う義務が厳格に定められており、丁寧なコミュニケーションが欠かせません。
4. 許認可の引き継ぎ:業種によって扱いが異なる
飲食業や建設業など、許認可の扱いもM&Aの手法で大きく異なります。 会社分割では、許認可は原則として自動承継されず、業種や根拠法令によって①届出のみ、②所管庁の認可が必要、③新規取得が必要——の3つに分かれます。
事業譲渡では、許認可は法人に紐付くため引き継げないのが大原則です。 買い手企業は一から許認可を取り直す必要があり、取得まで事業をストップせざるを得ない空白期間が発生するリスクがあります。
5. 手続きの期間とフロー:どちらが早く完了できる?
会社分割は、株主総会の特別決議や1ヶ月以上の債権者保護手続きなど、法定の手順を踏む必要があります。 準備期間を含めると、完了まで6ヶ月〜9ヶ月程度を見込んでおくのが一般的です。
事業譲渡には法的な待機期間がなく、理論上はすぐ完了させることも可能です。 ただし実務では、取引先との契約更新や従業員との面談に時間がかかり、規模の大きい事業では4ヶ月〜8ヶ月を要するケースが多くなっています。
会社分割と事業譲渡の税務・会計上の違い
M&Aの手法選びでは、税金や会計処理が財務に与える影響を見逃せません。消費税の有無や軽減措置の対象が異なるほか、事業を別法人に分けることで所得分散や交際費の損金算入枠が増えるといった副次的メリットも存在します(中小法人向けの800万円特例は2027年3月31日までに開始する事業年度が適用期限)。
ただし、実態のない分割は税務調査で租税回避と否認されるリスクもあるため注意が必要です。ここからは税務・会計面での5つの違いを見ていきましょう。
- 消費税:課税対象になるかならないか
- 不動産取得税・登録免許税:軽減措置はあるか
- 譲渡対価:株式か、現金か
- 繰越欠損金の引き継ぎ:利用できるか
- 簿外債務のリスク:想定外の負債を引き継ぐ可能性は?
それぞれ解説していきます。
6. 消費税:課税対象になるかならないか
会社分割は組織再編行為とみなされるため、事業を移管しても消費税はかかりません。 税負担を抑えて大規模なM&Aを実行したい場合、非常に有利な選択肢です。 新設法人の売上規模によっては、消費税の免税事業者になれる可能性もあります。
一方、事業譲渡は資産の売買として扱われ、建物・機械設備・のれん(無形資産)といった課税資産に消費税が発生します。 買収金額が大きい場合、数千万単位の消費税負担が資金繰りを圧迫する要因になり得るでしょう。
7. 不動産取得税・登録免許税:軽減措置はあるか
不動産を含む事業の移管では、名義変更時に登録免許税や不動産取得税がかかります。 事業譲渡では通常の不動産売買と同じ税率が適用されますが、会社分割では一定要件を満たすことで軽減措置が適用されます。
不動産取得税が非課税になるケースもありますが、分割対価が株式のみであること、主要資産・負債の移転、従業者の80%以上の引き継ぎなど複数の要件を満たす必要があります。 自社ビルや工場など不動産の多い事業を移管する際は、会社分割の方が移転コストを大幅に抑えやすくなります。
8. 譲渡対価:株式か、現金か
事業譲渡の対価は基本的に現金で支払われます。 買い手は買収資金の用意が必要ですが、売り手はすぐに現金を手にでき、他の事業への投資や借入金返済に活用できるのが利点です。
会社分割では、現金のほかに買い手企業の株式を対価として支払うことも認められています。 手元資金がなくてもM&Aを実行でき、資金調達のハードルを大きく下げられるのが会社分割の大きな特徴です。
9. 繰越欠損金の引き継ぎ:利用できるか
繰越欠損金とは、過去の赤字を繰り越して将来の黒字と相殺し、法人税の負担を減らせる制度です。 事業譲渡では、売り手の繰越欠損金を買い手が引き継ぐことは一切認められていません。
一方、会社分割では税務上の「適格要件」という厳しい基準をクリアした場合に限り、引き継ぎが認められています。 買い手企業は買収後の税負担を抑え、大きな節税効果を期待できるのが魅力です。
10. 簿外債務のリスク:想定外の負債を引き継ぐ可能性は?
簿外債務とは、未払い残業代や将来の損害賠償リスクなど、決算書に載っていない隠れた借金のことです。 会社分割は負債も丸ごと引き継ぐ包括承継のため、簿外債務を意図せず抱え込むリスクが伴います。
事業譲渡は、引き継ぐ負債を契約書で個別に指定できるため、原則として簿外債務を引き受けるリスクを遮断できます。 ただし、商号・屋号を承継した場合は弁済責任が生じる例外がある点には注意が必要です。
会社分割と事業譲渡のメリット・デメリット
手法を選ぶためには、両者の良い面と悪い面を公平に比較することが大切です。経営上のメリットだけでなく、法務・税務面のリスクも正しく理解しておく必要があります。
ここでは、買い手・売り手の両方の視点からメリットとデメリットを整理して解説します。
会社分割のメリット
会社分割のメリットは主に以下の3つです。
- 大規模事業の移管手続きを一括で進められる
- 資金調達が不要な場合がある
- 業種によっては許認可を引き継げる可能性がある
それぞれ解説していきます。
メリット1:大規模事業の移管手続きを一括で進められる
事業に関連する契約や資産を、まとめて一括で引き継げるのが会社分割の大きな強みです。 取引先や従業員と個別に契約を結び直す必要がないため、大規模事業の移管で圧倒的に手間と時間を省けます。
煩雑な書類作成や個別交渉の負担を減らし、事業をストップさせずにスムーズな新体制への移行が実現できるでしょう。
メリット2:資金調達が不要な場合がある
買い手企業は、対価として現金ではなく自社株式を発行して渡すことが可能です。 手元に多額の現金がなくても企業買収ができるため、財務状況を圧迫せず、銀行借入に頼る必要もなくなります。
成長意欲はあるが資金力に不安がある企業や、キャッシュを新規事業に温存したい企業にとって、株式を活用したM&Aは事業拡大の有力な選択肢となります。
メリット3:業種によっては許認可を引き継げる可能性がある
会社分割では、許認可は原則として自動承継されませんが、業種や根拠法令によっては届出・承継認可で引き継げるケースがあります。 事業譲渡と比べて手続きの選択肢が広いため、所管庁への事前確認が重要です。
事業を継続したまま売上の機会損失を防ぎつつ、スムーズに引き継げるかどうかは、早期の確認がカギを握ります。
会社分割のデメリット
会社分割のデメリットは主に以下の3つです。
- 不要な資産や簿外債務を引き継ぐリスク
- 株主構成が複雑になる可能性
- 買い手が見つかりにくい場合がある
それぞれ解説していきます。
デメリット1:不要な資産や簿外債務を引き継ぐリスク
包括承継の性質上、買い手企業は欲しい資産だけを選別できません。 不要な負債や簿外債務までも背負い込む恐れがあり、未払い残業代や将来の訴訟リスクが買収後に発覚するケースも想定されます。
事前に法務・財務の専門家による徹底した調査(デューデリジェンス)を行うことが不可欠です。
デメリット2:株主構成が複雑になる可能性
株式を対価とするスキームでは、売り手やその株主が買い手企業の新たな株主に加わります。 意図しない相手が株主となることで、経営方針への口出しや経営権バランスの崩壊リスクが生じる場合があります。
株式の交付割合次第で重要事項の決議に影響する可能性もあるため、対価として渡す株式数には細心の注意が必要です。
デメリット3:買い手が見つかりにくい場合がある
売り手が売却益として現金を強く望む場合、株式対価の会社分割は受け入れられにくくなります。 買い手が未上場企業だと、受け取った株式を市場で換金できないため、売り手が難色を示すことも少なくありません。
条件交渉が難航し、マッチングのハードルが高くなるのもデメリットの一つです。
事業譲渡のメリット
事業譲渡のメリットは主に以下の3つです。
- 譲渡する事業・資産を自由に選べる
- 簿外債務を引き継ぐリスクが低い
- 売却益を現金で獲得できる
それぞれ解説していきます。
メリット1:譲渡する事業・資産を自由に選べる
引き継ぐ資産や負債を一つひとつ取捨選択できるのが、事業譲渡の最大の魅力です。 売り手は本業に関わる特許や不動産を手元に残しつつ不要部門だけを売却でき、買い手は価値ある店舗やノウハウだけをピンポイントで取得できます。
両者にとって無駄のない柔軟な取引が可能で、理想的な事業ポートフォリオを構築しやすいのが強みです。
メリット2:簿外債務を引き継ぐリスクが低い
買い手は、事業譲渡契約書に明記した負債しか引き受ける必要がありません。 帳簿に載っていない隠れた借金や偶発的な負債を背負い込むリスクを大幅に軽減できます。
ただし、譲渡会社の商号を続用する場合は会社法第22条により弁済義務が生じる例外がある点に注意が必要です。 リスク管理を徹底したい場面では、事業譲渡が真っ先に検討される手法です。
メリット3:売却益を現金で獲得できる
対価が現金で支払われるため、売り手は事業を手放すと同時にまとまった資金を確保できます。 主力事業への再投資や借入金の返済、経営者のリタイア資金など、自由な用途に活用できるのが利点です。
資金繰りの改善や財務体質の強化に直結するため、早期に現金を調達したい企業にとって有効な手段となるでしょう。
事業譲渡のデメリット
事業譲渡のデメリットは主に以下の3つです。
- 手続きが煩雑で時間がかかる
- 従業員の再契約や取引先の再契約が必要
- 許認可の再取得が必要
それぞれ解説していきます。
デメリット1:手続きが煩雑で時間がかかる
個別で資産を移転するため、不動産の名義変更・知的財産権の移転登録・各種契約の巻き直しなど、膨大な事務手続きが発生します。 引き継ぐ資産が多いほど、時間とコストは雪だるま式に増加してしまいます。
法的な待機期間はないものの、実務作業に忙殺されて想定以上の期間を要するケースは珍しくありません。事前の綿密なスケジュール管理が求められます。
デメリット2:従業員の再契約や取引先の再契約が必要
従業員の転籍や取引先との契約引き継ぎには、当事者全員から個別に同意を得る必要があります。 重要な取引先が契約更新を渋ったり、優秀な従業員が転籍を拒否すれば、買収した事業の価値が大きく下がってしまいます。
交渉の手間だけでなく、事業を構成する重要な要素を失うリスクを抱えているのが難点です。
デメリット3:許認可の再取得が必要
行政の許認可は、原則として事業譲渡で引き継ぐことができません。 買い手は一から許認可の申請を行い、許可が下りるまで待つ必要があります。
申請タイミングがずれると事業を一時休止せざるを得なくなり、顧客離れや売上の機会損失に直結します。 許認可の取得スケジュールを契約前にしっかり確認しておくことが不可欠です。
【2026年最新】会社分割・事業譲渡で活用できる補助金

M&Aには専門家への報酬やシステム統合などさまざまな費用がかかります。国が用意する補助金制度を活用すれば、資金面の負担を大きく軽減できるでしょう。
最新の事業承継・M&A補助金の概要と要件について詳しく解説します。
事業承継・M&A補助金とは?【2026年2月27日公募開始】
事業承継・M&A補助金は、中小企業のM&Aに際して行う設備投資や経営統合に係る経費の一部を国が補助する支援制度です。 事業譲渡や会社分割での事業引き継ぎ、専門家への依頼費用の一部が補助対象となります。
2026年度の第14次公募は2月27日より開始されており、受付期間は2026年4月3日17時まで。 資金的な負担を減らしてM&Aを実行できる好機となっており、コスト面で躊躇している企業は積極的な活用を検討したい制度です。
補助金の対象となる経費と4つの申請枠
この補助金には、目的に応じた4つの申請枠が設けられています。
| 申請枠 | 対象・内容 | 補助上限 |
| 事業承継促進枠 | 5年以内に親族内・従業員承継を予定する者の設備投資費用・改築工事費用等 | 800万円〜1,000万円 |
| 専門家活用枠 | M&A仲介会社・FA・弁護士等への委託費用(DD費用・表明保証保険料等) | 最大2,000万円 |
| PMI推進枠 | M&A成立後の組織統合(PMI)にかかるコンサル費用・設備投資費用等 | 150万円〜1,000万円 |
| 廃業・再チャレンジ枠 | M&Aに伴う事業廃止・解体費用等 | 300万円 |
専門家への手数料だけでなく、引き継ぎ後の設備投資まで幅広くカバーされているのが特徴です。
会社分割・事業譲渡で補助金を受け取るための要件
補助金を受け取るには、中小企業者であること、M&Aを契機に新しい取り組みを行うことが大前提です。 枠によっては、国が認めたM&A支援機関に登録されている専門家の利用が要件に含まれます。
申請書類や事業計画の策定には専門知識が必要なため、早めに支援機関へ相談しましょう。 スケジュールに余裕を持った準備が、採択の確率を高める秘訣です。
補助金申請はEncoach株式会社へ!無料相談受付中
補助金の申請は制度や要件が複雑で、自社のリソースだけで進めるのは多大な時間と手間がかかります。 Encoach株式会社では、事業譲渡や会社分割のスキーム策定から、補助金の申請サポートまでワンストップで対応しています。
専門家の知見を活用してM&Aを有利に進めたい方は、ぜひお気軽に無料相談をご利用ください。
※出典:事業承継・M&A補助金|中小企業庁・令和7年度補正予算

会社分割・事業譲渡を成功させる5つのポイント【2026年版】

M&Aをトラブルなく成功させるには、事前の準備と戦略的な進行が不可欠です。法改正や補助金制度の変更が多い現在、最新情報を踏まえた対策が求められます。
実務でつまずきやすいポイントを5つに絞って解説します。
1. 目的を明確にし、最適なスキームを選択する
M&Aの目的が現金獲得なのか、リスク遮断なのか、手続きの効率化なのかを最初に明確にしましょう。 目的がブレると、会社分割と事業譲渡の選択を見誤り、取り返しのつかない失敗につながります。
経営陣でゴールを共有し、初期段階で目的に合致したスキームを決定することが成功の第一歩です。
2. 法改正・税制改正の最新動向を把握する
税務ルールや労働者保護の法律は毎年のように改正されており、古い知識のまま進めると想定外の課税リスクがあります。 特に会社分割の適格組織再編要件や消費税の取り扱いは非常に複雑です。
2026年現在の最新税制に基づき、どの手法が最もコストを抑えられるか、専門家を交えてシミュレーションしておきましょう。 税務リスクを最小限にすることが、手元に残る資金を最大化する鍵となります。
3. 専門家と連携し、デューデリジェンスを徹底する
デューデリジェンス(買収監査)は、対象事業に隠れたリスクがないか調べるM&Aの要です。 法務・財務・税務・人事の各分野でプロの目による調査を行えば、簿外債務やコンプライアンス違反のリスクを事前に洗い出せます。
特に会社分割は負債も引き継ぐため、調査の精度がM&Aの成否を左右します。 買収後のトラブルを防ぐためにも、専門家との連携体制を整えておくことが重要です。
4. 従業員や取引先への丁寧な説明とケアを怠らない
事業承継で最も大切な財産は、人と関係性です。 経営者交代への不安から、優秀な人材が離職したり重要な取引先が離れてしまうリスクは常に存在します。
事業譲渡でも会社分割でも、早い段階から誠実に説明を行い、処遇や契約に対する不安を取り除くケアが欠かせません。 継続的なコミュニケーションで理解と協力を得ることが、買収後の事業成長の土台となります。
5. 「事業承継・M&A補助金」を最大限活用する
M&Aには仲介手数料やシステム統合費用など多額のコストがかかります。 事業承継・M&A補助金を活用すれば、財務負担を大きく軽減し、浮いた資金を事業成長に回すことが可能です。
申請には詳細な事業計画書の作成が必要で、事業承継促進枠では認定支援機関による確認書の取得が必須要件となっています。 スケジュールに余裕を持ち、専門家と協力して準備を進めましょう。
会社分割・事業譲渡に関するよくある質問5選【2026年版】
経営者の方々からよく寄せられる疑問にお答えします。法改正や最新動向を踏まえた実践的な回答ですので、今後の検討や実務の参考にしてください。
Q1. 会社分割・事業譲渡における従業員保護の最新動向を教えてください
会社分割では労働契約承継法により、対象事業の従業員はそのまま新会社に引き継がれます。 本人の希望に反する転籍を防ぐため、事前通知と異議申し立ての機会を与えることが厳格に定められています。
事業譲渡では個別の同意が必須であり、無理な転籍の強要は一切できません。 どちらの手法でも、従業員の不安を払拭する丁寧な説明とケアが、スムーズな移行の鍵となります。
Q2. 会社分割と事業譲渡、どちらが税金面で有利ですか?
消費税がかからず、不動産取得税や登録免許税の軽減措置を受けられる会社分割の方が、税金面で有利になるケースが多い傾向です。 ただし、適格要件を満たさない非適格の会社分割では、多額の法人税が発生するリスクがあります。
事業譲渡は消費税がかかるものの、計算はシンプルです。 どちらが得かは状況次第のため、事前に税理士など専門家による詳細なシミュレーションが不可欠となります。
Q3. 事業承継・M&A補助金の申請は自分でもできますか?
制度上は自社のみでの申請も可能ですが、要件が複雑なため現実的には非常に困難です。 審査通過には、説得力のある事業計画書の作成や細かなルールに基づく書類準備が必要となります。
事業承継促進枠などでは認定支援機関(認定経営革新等支援機関)による確認書の提出が必須要件であり、専門家の関与なしに完了するのは実質的に不可能です。 採択率を高めるためにも、プロの知見の活用を強くおすすめします。
Q4. 手続きにはどれくらいの期間がかかりますか?
会社分割は法定の債権者保護手続きや書類備置があり、法的手続きだけで2ヶ月以上を要します。 事前準備や交渉を含めると3〜4ヶ月程度が一般的で、計画段階から半年を超えるケースも少なくありません。
事業譲渡は法的な待機期間こそないものの、従業員や取引先との再契約交渉に時間を取られます。 一般的な期間は3〜6ヶ月、大規模事業では1年以上かかることもあるため、余裕を持ったスケジュール策定が重要です。
Q5. 相談したいのですが、費用はかかりますか?
Encoach株式会社では、初回のヒアリングや基本的なスキーム検討のご相談を無料で承っています。 現在の状況をお聞きし、課題を整理する段階では料金は発生しません。
具体的な業務着手前に、明確な料金体系と支援内容を提示し、ご納得の上で契約となります。 少しでも不安があれば、まずはお気軽にご相談ください。

まとめ:2026年は補助金活用がM&A成功の鍵。Encoach株式会社と共に、最適な事業承継を実現しよう
会社分割と事業譲渡は、それぞれに優れた特徴を持つM&Aの手段です。 包括的に事業を移管し税負担を抑えたいなら会社分割、不要なリスクを遮断し確実に現金化を狙うなら事業譲渡が適しています。
2026年は国がM&Aを強く後押しする補助金制度が充実しており、資金負担を大幅に抑えて事業承継を進める絶好のタイミングです。 自社に最適な選択をし、失敗のないM&Aを実現するには、専門家の客観的な視点が欠かせません。
財務とM&AのプロフェッショナルであるEncoach株式会社が、経営者の皆様にしっかりと伴走し、理想の事業承継をサポートします。まずは無料相談から、お気軽にご連絡ください。
