「役員賞与は経費にならない」と聞いて、支給を諦めていませんか。正しい手続きを踏めば、役員賞与も損金(経費)に算入でき、社会保険料を大幅に削減する強力な一手にもなります。この記事では、損金算入の具体的な手続きから社会保険料の節約スキーム、2026年最新の制度改正まで徹底解説します。自社の経営戦略に組み込み、会社の成長を加速させましょう。
1. 役員賞与とは?役員報酬との3つの違いをわかりやすく解説

役員賞与と役員報酬は、どちらも経営陣へ支払われるお金ですが、税務・会社法上の扱いは大きく異なります。思わぬ税務リスクを抱え込まないよう、決定的な違いを押さえておきましょう。
1-1. 役員賞与の定義|退職給与以外の「臨時的な報酬」
役員賞与とは、取締役・監査役などの役員に対して、毎月の定期給与とは別に支給される一時金(臨時的ボーナス)のことです。 従業員のボーナスとは異なり、業績に応じて自由に金額を決めることはできません。 決算前に多額の賞与を支給すると税務署から恣意的な利益操作とみなされるリスクがあり、原則として損金算入が認められません。
1-2. 法人税法上の「役員」の範囲|取締役・監査役だけではない
法人税法上の「役員」は、登記簿記載の取締役・監査役だけでなく、実質的に経営に関与している「みなし役員」も含まれます。 社長の配偶者や親族が従業員として働いていても、経営方針の決定に関与していればみなし役員と判定されます。 このみなし役員への賞与にも厳しいルールが適用されるため、家族経営の企業は特に注意が必要です。
1-3. 【比較表付き】役員賞与と役員報酬の3つの違い
役員賞与と役員報酬の違いは、支給時期・支給額の柔軟性・損金算入の条件の3点に集約されます。
| 比較項目 | 役員報酬 | 役員賞与 |
| 支給時期 | 毎月(定期) | 臨時的(年1〜3回など) |
| 支給額 | 毎月同額が原則 | 金額は自由に設定可能 |
| 損金算入 | 定期同額なら原則OK | 事前の届出と完全な一致が必要 |
最大の違いは、役員賞与を経費にするためのハードルが非常に高い点です。役員報酬のように毎月同じ金額を支払うだけでは、経費として認められません。
1-4. 原則「損金不算入」!役員賞与が経費にならない理由
役員賞与が原則「損金不算入」とされているのは、経営者による恣意的な利益操作・課税逃れを防ぐためです。 もし役員賞与が自由に経費として認められれば、決算前に利益分を賞与として支給し、納税額をゼロにすることが容易になってしまいます。 公平な税負担を実現するために、厳格なルールが設けられています。
※出典:国税庁|No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)
2. 役員賞与を損金算入する3つの方法

原則として経費にならない役員賞与ですが、特定のルールを守れば損金算入が認められます。2026年最新の税制に対応した3つの方法を見ていきましょう。
役員賞与を損金算入できる主な方法は以下の3つです。
- 事前確定届出給与
- 業績連動給与
- 定期同額給与
それぞれ解説していきます。
2-1. 方法①:事前確定届出給与|中小企業が最も活用しやすい王道の手法
中小企業が役員賞与を経費にする方法として、最も現実的で広く使われているのが「事前確定届出給与」です。 あらかじめ支給金額と日付を税務署へ届け出て、その通りに支給することで全額を損金にできます。 1円・1日でもズレると経費として一切認められないため、徹底したスケジュール管理と資金繰りの予測が欠かせません。
2-2. 方法②:業績連動給与(旧・利益連動給与)|非同族法人・特定同族会社向けのインセンティブ制度
「業績連動給与」は、会社の利益や株価などの客観的指標に連動して支給額が変動する役員報酬制度です。 損金算入できるのは主に上場企業などで、独立社外取締役が過半数を占める報酬委員会の設置や厳格な開示義務が必要なため、一般的な中小企業への導入は困難です。 目標達成した分だけ報酬が増える仕組みは、経営陣のモチベーション向上に強力に機能します。
2-3. 方法③:定期同額給与|毎月同額を支給する基本ルール
「定期同額給与」は、毎月一定の金額を支給し続ける最も基本的な役員報酬の形で、税務署への特別な届出は不要です。 金額の変更は原則として事業年度の開始から3ヶ月以内に限られます。 賞与総額を12ヶ月で割り、毎月の給与に上乗せして支給する方法で、全額を損金として処理することも可能です。
2-4. 【一覧表】3つの方法の比較|自社に最適な方法はどれ?
自社に最適な方法を選ぶために、3つの手法の特徴を比較してみましょう。
| 手法 | 対象企業 | 手続きの難易度 | 特徴 |
| 事前確定届出給与 | すべての企業 | 中(事前届出が必要) | 決めた日・決めた額で支給するボーナス |
| 業績連動給与 | 主に上場企業 | 高(指標の設定と開示) | 業績に応じて金額が変動する |
| 定期同額給与 | すべての企業 | 低(株主総会決議のみ) | 毎月同じ金額を支払う基本給 |
中小企業が役員賞与を活用するなら、「定期同額給与」で安定収入を確保しつつ、「事前確定届出給与」を組み合わせてボーナスを支給するのが王道の形です。
3. 【手続き完全マニュアル】事前確定届出給与の届出から支給までの4ステップ

事前確定届出給与を活用するには、厳格な手続きが求められます。ミスが許されない届出から実際の支給までの流れを、4つのステップで確認しましょう。
届出から支給までの流れは以下の4ステップです。
- 株主総会(社員総会)で役員賞与の支給を決議する
- 「事前確定届出給与に関する届出書」を税務署に提出する
- 届出期限を厳守する(「総会から1ヶ月」と「期首から4ヶ月」の早い方)
- 届出通りの金額・日付で役員賞与を支給する
それぞれ解説していきます。
3-1. ステップ①:株主総会(社員総会)で役員賞与の支給を決議する
最初のステップは株主総会を開き、「誰に・いつ・いくら」支給するかを決め、議事録として書面に残すことです。 決定した金額・日付がそのまま税務署への届出内容になります。 業績の見通しや資金繰りを慎重に予測し、確実に支払える無理のない金額を設定することが何より重要です。
3-2. ステップ②:「事前確定届出給与に関する届出書」を税務署に提出する
株主総会後、国税庁サイトから所定の届出書をダウンロードし、決議内容を正確に記入して管轄税務署へ速やかに提出します。 役員の氏名・職務内容・支給時期・支給金額を詳細に記載した「付表」の添付も必要です。 提出は窓口・郵送のほか、e-Taxによるオンライン申請も可能です。
3-3. ステップ③:届出期限を厳守する|「総会から1ヶ月」と「期首から4ヶ月」の早い方
届出期限は「株主総会から1ヶ月以内」または「事業年度の開始日から4ヶ月以内」の、どちらか早い日です。 たとえば3月決算の会社が5月25日に株主総会を開いた場合、提出期限は6月25日になります。 1日でも遅れると、その年の役員賞与は全額経費として認められなくなるため、スケジュール管理を徹底してください。
3-4. ステップ④:届出通りの金額・日付で役員賞与を支給する
届出が完了したら、指定した支給日に1円の狂いもなく正確な金額を役員の口座へ振り込みます。 振込手数料の負担先など細かい計算ミスで支給額がズレるケースが多いため注意が必要です。 証拠を残すためにも、現金手渡しではなく必ず銀行振込を利用しましょう。土日祝日と支給日が重なる場合の振り込みタイミングにも注意が必要です。
4. 事前確定届出給与で絶対に失敗しないための5つの注意点

事前確定届出給与は、少しのミスで多額の税金を支払うことになる「ハイリスク・ハイリターン」な制度です。経営者が必ず押さえておくべき5つの注意点を解説します。
事前確定届出給与で失敗しないために注意すべき点は以下の5つです。
- 届出と1円でも異なる金額を支給すると全額損金不算入
- 届出と異なる日に支給しても全額損金不算入
- 業績悪化で支払えない場合の対処法
- 届出後に「やっぱり支給しない」場合の扱い
- 使用人兼務役員の場合の特例
それぞれ解説していきます。
4-1. 届出と1円でも異なる金額を支給すると全額損金不算入
届け出た金額と実際の支給額が少しでも違うと、超過分だけでなく全額が経費として認められなくなります。 500万円の届出に対して501万円支給しても499万円に減らしても、500万円全額が損金不算入です。 役員個人の所得税・社会保険料もかかるため、実質的に税負担が2倍になる「ダブルパンチ」状態に陥ります。
4-2. 届出と異なる日に支給しても全額損金不算入
金額だけでなく支給「日付」も完璧に一致させる必要があり、1日のズレでも全額が経費として認められません。 「12月25日」と届け出た場合、必ずその日に着金するよう手続きを進めます。 休日の振り込み対応や銀行のシステムトラブルに備え、余裕を持ったカレンダー管理が必須です。
4-3. 業績悪化で支払えない場合の対処法|「業績悪化改定事由」の要件
経営状況が著しく悪化した場合に限り、「業績悪化改定事由」として支給額の減額や取りやめが例外的に認められます。 「予定より少し利益が減った」程度では認められず、取引先の倒産や大規模な災害など客観的かつ深刻な理由が必要です。 変更の届出書は、減額等を決議した日から1ヶ月以内に税務署へ提出しなければなりません。
4-4. 届出を出した後に「やっぱり支給しない」はどうなる?
支給日より前に臨時株主総会を開き、役員本人が賞与を「辞退」する決議を明確に行えば、税務上のペナルティを回避できます。 事前に辞退の決議をしてゼロにすれば、個人の所得が発生しないため、役員個人の所得税が余分にかかることはありません。 株主総会議事録を残して正式な手続きを踏むことが絶対条件です。怠ると、支給されたものとみなされて課税されるリスクがあります。
4-5. 使用人兼務役員の場合の特例|従業員分の賞与は損金算入OK
役員と従業員の立場を兼ねる「使用人兼務役員」への従業員分のボーナスは、事前の届出がなくても損金算入できます。 ただし、役員としての賞与部分は事前確定届出給与のルールに従う必要があります。 税務調査での指摘を避けるため、賃金台帳などで役員分と従業員分を明確に区別して管理することが重要です。
※出典:国税庁|No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)
5. 【年間100万円超の削減も】役員賞与で社会保険料を大幅に節約する方法

役員報酬と役員賞与の支払いバランスを工夫することで、社会保険料の負担を大幅に下げられるスキームがあります。会社のキャッシュフローを改善できる仕組みの全貌と落とし穴を解説します。
5-1. なぜ安くなる?健康保険・厚生年金の「標準賞与額の上限」を活用した仕組み
社会保険料が安くなる仕組みは、賞与にかかる「標準賞与額の上限」(健康保険:年累計573万円・厚生年金:1回150万円)にあります。 毎月の給与を低く設定し、残りを多額の賞与として支給すれば、上限を超えた部分には社会保険料が一切かかりません。 これが社会保険料削減スキームの根幹をなす仕組みです。
5-2. 【シミュレーション】年収1,200万円の役員で比較|社会保険料の差額は約175万円
年収600万円の例で見ると、役員報酬を月10万円に設定し残り480万円を賞与で受け取るだけで、社会保険料を大幅に節約できます。 年収1,200万円の役員では、月給100万円のみで受け取る場合と、月給10万円+賞与1,080万円の場合で年間約175万円もの差額が生まれます。 このスキームを成功させるには、事前確定届出給与の届出を確実に提出し、その通りに支給することが絶対条件です。
5-3. 見落とし厳禁!社会保険料削減スキームの5つのデメリット・リスク
社会保険料削減スキームには重大なデメリットが存在します。目先のメリットだけでなく、将来のリスクを正しく理解しておかなければなりません。主なデメリット・リスクは以下の5つです。
- 将来の年金受給額が減少する
- 傷病手当金・出産手当金の支給額が下がる
- 毎月の手取りが大幅に減り、生活資金に影響する
- 届出通りに支給できなければ全額損金不算入のリスク
- 金融機関からの信用評価に影響する可能性がある
それぞれ解説していきます。
5-3-1. 将来の年金受給額が減少する
厚生年金保険料の支払額が減ると、将来受け取る老齢厚生年金の額もそれに比例して下がります。 今の手元資金は増えますが、老後の収入源が細るというトレードオフがあります。 削減できた資金をiDeCoやNISAに回し、計画的な資産形成が不可欠です。
5-3-2. 傷病手当金・出産手当金の支給額が下がる
傷病手当金や出産手当金は「毎月の給与(標準報酬月額)」をベースに計算されるため、月給を下げると支給額も大幅に減ります。 いざという時の保障がほとんど受けられなくなるリスクがあります。 民間の医療保険や就業不能保険で独自にリスクヘッジしておく必要があります。
5-3-3. 毎月の手取りが大幅に減り、生活資金に影響する
役員報酬の月額を低く設定するため、まとまった賞与が入るまでの期間、わずかな月給で生活費をやり繰りしなければなりません。 個人貯蓄が不足していると、会社から個人への貸付(役員貸付金)が必要になり、経理が複雑化します。
5-3-4. 届出通りに支給できなければ全額損金不算入のリスク
1円でも支給額がズレたり、指定日に支払えなかったりすると、多額の賞与が全額経費として認められなくなります。 法人税が跳ね上がり、削減した社会保険料以上の損害を被る危険があります。
5-3-5. 金融機関からの信用評価に影響する可能性がある
極端に低い役員報酬や、生活費補填のための役員貸付金があると、銀行から「経営者の資金繰りが不安定」とみなされる可能性があります。 将来的に融資を検討している場合、スキームが足かせになることもあります。 メインバンクの担当者と事前に方針を共有してお
6. 【2026年最新】役員賞与を取り巻く4つの制度改正|知らないと損する重要ポイント

役員賞与を取り巻く税制や社会保険のルールは毎年更新されています。2026年以降の経営で財務を最適化するためには、最新の制度改正を正確に把握することが不可欠です。
2026年以降に経営者が押さえておくべき制度改正は以下の4つです。
- 令和8年度税制改正|基礎控除・給与所得控除の引上げで手取りが増える
- 社会保険料削減スキームに規制の動き|標準賞与額の上限見直しが議論中
- 厚生年金の標準報酬月額上限が2027年9月から段階的に引上げ
- 在職老齢年金の基準額が65万円に緩和|60歳以上の役員は報酬設計を見直すチャンス
それぞれ解説していきます。
6-1. 令和8年度税制改正|基礎控除・給与所得控除の引上げで手取りが増える(源泉徴収適用は2027年1月以後)
令和8年度(2026年)の税制改正で基礎控除と給与所得控除が引き上げられ、同じ役員賞与の支給額でも個人の所得税負担が軽くなります。 源泉徴収実務への適用は2027年1月以降の見通しですが、長期的な報酬設計にとってプラスの要因です。 早めにシミュレーションを行い、来期以降の支給額を最適化することが推奨されます。
6-2. 社会保険料削減スキームに規制の動き|標準賞与額の上限見直しが議論中
役員報酬を下げて賞与を増やすスキームに対し、健康保険・厚生年金の「標準賞与額の上限」撤廃・見直し議論が活発化しています。 上限が引き上げられれば、多額の賞与にも保険料が比例してかかるようになり、節税手法のメリットは失われます。 常に国の動向を注視し、従来の報酬体系に戻せるリスクヘッジが不可欠です。
6-3. 厚生年金の標準報酬月額上限が2027年9月から段階的に引上げ(68万円→71万円→75万円)
厚生年金の標準報酬月額の上限が2027年9月から68万円→71万円→75万円と段階的に引き上げられ、高所得役員の社会保険料負担が増加します。 役員報酬を高く設定するコストがこれまで以上に重くなります。 役員賞与と月額報酬のベストな比率を改めて見直す時期が来ています。
6-4. 在職老齢年金の基準額が65万円に緩和|60歳以上の役員は報酬設計を見直すチャンス
2026年4月1日から、在職老齢年金の減額基準額が51万円から65万円に引き上げられ、年金をカットされずに受け取れる報酬の枠が広がります。 これまで年金を守るために役員報酬を低く抑えていたシニア役員にとって、報酬設計を大きく見直す絶好の機会です。 役員賞与の支給額と組み合わせ、個人として最も有利な受け取り方を再構築しましょう。
7. 役員賞与の会計処理と税務の実務|仕訳・源泉徴収・税務調査の3大ポイント

役員賞与を支給する際は、正しい会計処理と複雑な税金・社会保険料の計算が不可欠です。経理ミスが大きな追徴課税に直結するため、実務上の3つの重要ポイントを押さえておきましょう。
実務で必ず押さえておくべきポイントは以下の3つです。
- 役員賞与を支給したときの勘定科目と会計処理
- 役員賞与の源泉徴収税額の計算方法
- 税務調査で否認されやすい3つのパターンと対策
それぞれ解説していきます。
7-1. 【仕訳例付き】役員賞与を支給したときの勘定科目と会計処理
役員賞与の勘定科目は「役員賞与」を使用し、従業員の賞与とは明確に区別して記帳します。 100万円の賞与に対して税金・保険料20万円が発生した場合、「(借方)役員賞与100万円 /(貸方)普通預金80万円・法定福利費10万円・預り金10万円」といった処理になります。 事前確定届出給与として損金算入の要件を完全に満たしていることが大前提です。
7-2. 役員賞与の源泉徴収税額の計算方法|令和8年(2026年)の税額表に対応
役員賞与の源泉所得税は前月の給与額に応じて変動するため、最新の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使用します。 前月に給与の支払いがない場合や賞与額が前月給与の10倍を超える特殊なケースでは、「月額表」を用いた複雑な計算が必要です。 計算ミスはペナルティに直結するため、最新法令に対応した給与計算ソフトの活用が最も確実です。
7-3. 税務調査で否認されやすい3つのパターンと対策
税務調査において役員賞与は最も厳しくチェックされる項目です。手続きに不備があれば多額の追徴課税を求められるリスクがあります。否認されやすいパターンは主に以下の3つです。
- 届出書の提出期限を過ぎていた
- 届出額と実際の支給額が異なっていた
- 役員報酬が「不相当に高額」と判断された(形式基準・実質基準)
それぞれ対策を解説していきます。
7-3-1. 届出書の提出期限を過ぎていた
最も多い失敗が、届出書の提出期限(株主総会から1ヶ月以内・期首から4ヶ月以内)を過ぎてしまうことです。 数日の遅れでも、その年の賞与は一切経費として認められません。 税務調査では提出日の消印や受領印が厳格に確認されるため、決議後は速やかに提出するフローを社内で構築してください。
7-3-2. 届出額と実際の支給額が異なっていた
届け出た金額と実際に振り込んだ金額が1円でも違うと、「業績が良かったので少し上乗せした」などの理由は一切通用せず、全額否認されます。 支給日が1日前後しても同様に否認されます。 銀行の振込明細や給与明細をしっかり保管し、着金確認ができる状態を整えておきましょう。
7-3-3. 役員報酬が「不相当に高額」と判断された(形式基準・実質基準)
手続きが完璧でも、支給額が「不相当に高額」と判断されると経費として否認されます。 調査官は定款・株主総会で定めた限度額(形式基準)と、同業他社・職務内容・会社利益規模との比較(実質基準)の2つの視点で審査します。 実質的な業務を行っていない親族のみなし役員への高額賞与は特に危険で、勤務実態の記録を残しておくことが最大の対策です。
8. 役員賞与を「経営者のビジョン実現」に繋げる3つの視点

役員賞与は、単なる節税ツールや社会保険料削減の手段ではありません。会社を理想の方向へ導き、組織を活性化させるための戦略的な投資です。経営に活かす視点は主に以下の3つです。
- 事業計画と連動させ、役員のモチベーションを最大化する
- キャッシュフローを最適化し、未来への投資原資を確保する
- 「想い」を数字に落とし込み、ステークホルダーへの説明責任を果たす
それぞれ解説していきます。
8-1. 視点①:事業計画と連動させ、役員のモチベーションを最大化する
役員賞与を事業計画の目標と連動させることで、達成した成果が正当に還元される仕組みが生まれます。 「会社の成長」と「個人の利益」が一致することで組織全体に前向きなエネルギーが波及し、目標達成のスピードが加速します。 業績連動型の報酬設計は、企業の競争力を飛躍的に高める強力な経営ツールです。
8-2. 視点②:キャッシュフローを最適化し、未来への投資原資を確保する
事前確定届出給与を計画的に活用し、法人税を適正に抑えて手元の現金を確保することで、次なる新規事業や設備投資の原資が生まれます。 万が一の経済ショックへの「防衛資金」としても機能します。 会社と個人の資産のバランスを最適化することが、強靭な経営基盤を築く第一歩です。
8-3. 視点③:「想い」を数字に落とし込み、ステークホルダーへの説明責任を果たす
役員賞与の額を明確に設定することは、「会社をこうしたい」という経営者の想いを数字に変換する作業です。 支給額の根拠を明確にすることで、株主・金融機関・従業員といったステークホルダーへの説明責任が果たせます。 透明性の高い報酬設計は外部からの信頼を獲得し、長期的な企業価値の向上に繋がります。
9. 役員賞与・経営財務のお悩みはEncoach株式会社にご相談ください
役員賞与のルールは複雑で、一歩間違えれば会社に大きなダメージを与えかねません。安全かつ戦略的な報酬設計のために、プロの専門家に任せることが近道です。Encoach株式会社が提供するサポートは主に以下の3つです。
- 大手税理士法人出身のプロが、貴社に最適な役員報酬・賞与設計をデザイン
- 経営財務コンサルティングで、事業計画策定から予実管理まで一気通貫で伴走
- まずはお気軽にお問い合わせください|あなたの会社の可能性を最大化します
それぞれご紹介します。
9-1. 大手税理士法人出身のプロが、貴社に最適な役員報酬・賞与設計をデザイン
Encoach株式会社では、複雑な税法を熟知した専門家が貴社の財務状況・経営目標に合わせ、最適な役員報酬・賞与のバランスを完全オーダーメイドで設計します。 「事前確定届出給与」の書類作成からスケジューリングまで徹底サポートし、提出忘れや計算ミスによる追徴課税リスクをゼロにします。
9-2. 経営財務コンサルティングで、事業計画策定から予実管理まで一気通貫で伴走
私たちは単なる代行業者ではなく、会社の成長を共に創る経営財務コンサルタントです。 役員賞与の設計にとどまらず、事業計画策定・毎月の予実管理・キャッシュフロー改善・融資サポートまで一気通貫で伴走します。 月次決算を通じてリアルタイムな経営状況を常に把握できる体制を構築し、社長が本業に100%集中できる環境をご提供します。
9-3. まずはお気軽にお問い合わせください|あなたの会社の可能性を最大化します
「今の役員報酬の設定で損をしていないか」「社会保険料をもっと安くできないか」と少しでも疑問があれば、Encoach株式会社へご相談ください。 初回相談では現状をヒアリングし、改善余地の具体的なシミュレーションをご提示します。 お問い合わせはウェブサイト(https://encoach.jp/)からいつでも受け付けております。

10. 役員賞与に関するよくある質問
役員賞与や役員報酬について、経営者の皆様から寄せられることの多い疑問をQ&A形式でまとめました。実務で迷った際の参考にしてください。
Q1. 役員賞与はいくらまでなら損金算入できますか?
法律上の上限金額の定めはありません。同業他社の水準や本人の職務内容・会社の利益状況と比較して「不相当に高額」と判断されると超過分は否認されます。相場(実質基準)と株主総会で定めた限度額(形式基準)を踏まえた常識的な範囲での設定が必要です。
Q2. 届出を出した後に業績が悪化して支払えなくなったらどうなりますか?
支給日より前に臨時株主総会を開き、役員本人が賞与を「辞退」する決議を行えば問題ありません。議事録をしっかり残すことで、支給しなくても税務上のペナルティを回避できます。業績が著しく悪化した場合は「業績悪化改定事由」として届出内容の変更も可能です。
Q3. 社会保険料削減スキームは2026年以降もまだ使えますか?
現時点では利用可能ですが、国による規制強化の議論が進んでおり将来的に使えなくなるリスクがあります。標準賞与額の上限見直しが行われればメリットは消滅するため、最新の法改正を常にチェックし、過度な依存は避けましょう。
Q4. 役員賞与の届出を出し忘れた場合、後から提出できますか?
原則として期限を過ぎてからの提出は一切認められません。1日でも遅れると、その年の役員賞与は全額経費として落とせなくなります。やむを得ない災害などの特別な事情がない限り、救済措置はありません。
Q5. 使用人兼務役員の場合、賞与はどう扱われますか?
従業員としての立場で支給されるボーナス部分は事前届出なしで損金算入できます。役員としての賞与部分は事前確定届出給与のルールが適用されます。役員分と従業員分を賃金台帳などで明確に分けて管理することが税務調査対策として重要です。
Q6. 役員賞与の活用は、金融機関からの融資にどう影響しますか?
極端な節税目的で月給を数万円に設定し、生活費のために会社からお金を借りている(役員貸付金がある)と、銀行からの評価は著しく下がります。融資を有利に進めるためには健全な財務バランスを保つことが不可欠で、賞与支給後に貸付金を精算するなどの対策が必要です。
Q7. 2026年4月の在職老齢年金制度の改正は、役員賞与にどう影響しますか?
年金が減額される基準額が65万円に引き上げられるため、シニア役員が年金をカットされずに受け取れる報酬の枠が広がります。役員報酬と賞与のバランスを再設計することで、手取りの最大化が可能です。60歳以上の役員がいる場合は制度の恩恵を受けられるようシミュレーションを行いましょう。
※出典:国税庁|No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)
11. まとめ:2026年は役員賞与が経営の分かれ目。専門家と伴走し、会社の可能性を最大化しよう
役員賞与は、正しく活用すれば法人税を抑えながら経営陣のモチベーションを高める強力な武器です。手続きには「1日・1円のミスも許されない」高いハードルがある一方、2026年以降も制度改正は続きます。確かな知識を持つ専門家と共に、戦略的に活用していきましょう。
